中国のAI(人工知能)の計算能力のうち5割を超える部分はドラマなどショート動画の生成に消費されている――。こうした調査結果が同国で物議を醸している。はたしてAIは中国経済・社会の改善・向上に役立っているのだろうか。
A株上場企業でデジタルコンテンツ配信やオンライン文学サービスを手がける「中文在線(Chinese All)」は6月3日に開催した投資家向け説明会の資料の中で「中国国内の全トークン消費における首位はAIショートドラマおよび動画生成で、全体の55%を占めた。Eコマースや(ライブコマースや広告など)マーケティングが24%でこれに次ぐ。かつて大きな期待が寄せられていたソフトウェア開発分野はわずか15%にとどまる」と指摘した。
(訳注、TikTok<ティックトック>などでみられるスマホ画面用の縦長のショート動画は中国では「視頻」と呼ばれ通常30~60秒程度なのに対し、「短劇」と呼ばれるショートドラマは1話5分前後で数十話続くものも多く、区別されるケースもあるが、この統計では「短劇および視頻」として一緒に扱われている)
トークンとは、AI大規模モデルがテキストや画像、動画データを処理する際の計算量を示す最小単位。漢字1文字の場合、約1~2つのトークンに相当する。一般的に、AIによる動画生成は、テキストや画像の生成に比べてより多くのトークンを消費する。
中文在線は、ショートドラマや動画生成のトークン消費割合が高い理由について、人間の姿を模した実写風キャラクターが登場するAI生成ショートドラマの台頭を挙げている。これらは従来のマンガ風のアニメーションなどと比較してトークン消費量が大きく、制作過程でも理想的な結果を得るために試行錯誤を重ねながら生成を何度も繰り返す必要があるため、継続的にトークンが消費されるという。
中国信息通信研究院(CAICT、中国工業情報化部直属の情報通信分野の政府系シンクタンク)が9月30日に発表した「トークン経済発展研究報告(2026年版)」でも、中文在線と同様のデータを引用して、ショート動画生成がトークン消費の55%を占めていると指摘している。
「55%は過大見積もり」、反論の声も
このデータについては「動画生成のためのトークン消費が過大に見積もられている」との反論もある。TikTok運営会社の字節跳動(バイトダンス)が運営するAIアシスタント「豆包」は10月19日、SNS「微博(ウェイボー)」上でこのデータを含む報道やその出典を引用し、「事実ではない」と反論した。同社は、「バイトダンス全体で見ると、全計算資源のうち、動画生成モデルの学習・推論に使われているのは約10%にすぎない」と投稿した。


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