ここは私が一番好きな系統のお店です、と言いながらも由紀子さんは料理にあまり箸を付けない。晴幸さんと幸せな結婚をするまでの約30年間の道のりを振り返ると、話したいことが溢れ出てきてしまうようだ。
別れの悲しみを振り払う勢いで働いた由紀子さん。海外取材を含めた大きな仕事をやり遂げて「とりあえずの到達点」に達したときには30歳を過ぎていた。
60人とお見合い、断り続けた30代
次の目標にしたのは結婚と子育てである。35歳までに結婚して子どもを持つという青写真を描いた、と明かす。そのためには相手が要る。由紀子さんは大手の結婚相談所に入会して婚活を始めた。
「合計で60人以上とはお見合いしました。大企業の社員とか公務員とか、いい人が多かったです。私は職業柄もあって好奇心を持ってお話を聞き、たいていの相手は『こんなに楽しく話せたのは初めて!』と喜んでくれました。でも、私のことは何も聞いてくれなかったという理由などでお断りしてばかり。『(出版社の仕事で)こんなに充実している私に、普通のサラリーマンのあなたは何を提供してくれるの?』と高飛車な気持ちもあったのだと思います」
コンプレックスと優越感はセットのようなものだ。当時の由紀子さんはその両方を無自覚に持て余していたのかもしれない。結婚への気持ちが整っていなかったのでうまくいくはずがない、と由紀子さんは反省している。


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