小学校教員のジェスさん(20代)は、抗議活動を肯定的に捉えている1人だ。
「今回の運動はすばらしい。高校生から始まった抗議活動が教育関係者や医療関係者にまで広がった。予算を増やしてほしい、もっとよい環境で学び、働きたい。そうした切実な訴えがつながっていることに意味がある」
ジェスさんが感じているのは、教育現場にとどまらず、さまざまな社会問題が改めて表面化している点だ。ジェスさんは、10月13日に環境活動家のグレタ・トゥーンベリがパリ郊外のサン=ドニで、生徒たちのデモに加わったことなどを挙げ、こうしたことが、社会の中で見過ごされてきた問題に、人々が再び目を向けるきっかけになっていると考えている。
参加者たちが繰り返した「言葉」
今回の抗議活動では破壊や略奪などの暴力行為も発生しているが、ジェスさんはそうした行為に及んだのは一部の人々で、大多数のデモ参加者は平和的に抗議していたと強調する。
「暴力をふるった人たちが、これまで何も訴えてこなかったわけではない。自分たちの声を当局に聞いてもらえなかった。その積み重ねがこうした行動につながっているのではないか」
筆者の印象に残ったのは、デモ行進で参加者たちが何度も繰り返していたという言葉を、ジェスさんが笑いながら教えてくれたことだった。
<Il n'y a pas de danger, c'est vous qui le créez(危険なんてない。危険を生み出しているのは、あなたたちのほうだ)>
事態を危険なものにしているのは抗議する側ではなく、むしろ当局の対応なのだ、という主張。ジェスさんの話からは、今回の抗議活動を単なる治安上の問題として捉えるのではなく、そこに至るまでに人々の声がどのように扱われてきたのかにも目を向けてほしい、という思いが伝わってきた。


※ログイン後、コメント入力が可能です。