そうなのです。「噛む」「飲み込む」「話す」……。お口の仕事はバラバラに見えても、実はチームプレーです。はじめは取るに足りないようなほんの小さな衰えです。硬い物が噛みにくい、時々むせる、滑舌は悪くなった気がする、といった「ささいな衰え」を、前述の「オーラルフレイル」と言います。
千葉県柏市で65歳以上の2011人を対象にした有名な研究があります。「歯の数」「噛む力」「滑舌」などについての調査で、これらの悪さ(機能低下)と、その後の身体の衰えとの関係を調査したものです。
その結果、オーラルフレイルの人は、オーラルフレイルでない人に比べ、全身フレイルになるリスクが約2.4倍、筋肉が減るサルコペニアのリスクが約2.2倍、介護されるリスクが約2.3倍、死亡リスクが約2.2倍でした。
お口の衰えは、ドミノ倒しの最初の1枚です。「噛みにくい」→「食べ物が偏る」→「栄養が足りない」→「筋肉が落ちる」→「動くことが億劫になる」→「生活が制限される」→「寝たきりになる」→「介護が必要になる」。1枚倒れると、次々に倒れていきます。倒れたドミノを起こすことは、とても大変なことです。でも、倒れないようにすることは、難しくありません。だから、最初の1枚を阻止したいのです。
お口の機能低下が認知症、誤嚥性肺炎などのリスクに…
もう少しお話を深めましょう。ドミノの先には、何があるのでしょうか? 決して怖がらせたいのではありません。知れば守れるから、お伝えしたいのです。
先ほどご説明した全身フレイルリスクや要介護リスク、死亡リスクの他にもリスクはあり、骨折リスク約1.1倍、軽度認知障害リスク約1.5倍という調査もあります。高齢者の死因上位に入る誤嚥性肺炎のリスクも高まると言われています。


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