相談を持ちかけたのは、食に精通している友人の柴田香織さんだ。
出会いは、とあるレストランのカウンターだった。偶然、隣に座ったのだ。柴田さんは当時、三越伊勢丹研究所で食品ディレクターをしており、その日はバイヤーと食事に来ていた。ちょうど雑誌で「ロカボ」という言葉を見かけ、興味を持っていたところ、店のシェフが引き合わせてくれた。三人は意気投合し、それから、ときどき食事をする仲になった。
「レストランと一緒にロカボを広めたい」と相談を持ちかけられた柴田さんは、快諾。ちょうど会社を辞めて独立した頃で、タイミングもよかったという。
こうして三人は、2022年、医師と料理人が協力し、おいしさと健康を両立する「レキペ・アカデミア」という活動をスタートした。
湯河原でおいしいものをゆっくりと
「レキペ・アカデミア」で、さまざまな料理人と交流する中、次は、地域ぐるみでロカボに取り組めないかと考えた。その候補に挙がったのが、神奈川県の湯河原町だ。
はじまりは、柴田さんが東京と湯河原で2拠点生活をしていたことだった。
湯河原は東京からのアクセスが良く、三人も足を運びやすい。熱海や箱根といった賑やかな観光地の近くにありながら、町は静かで、落ち着いた雰囲気だ。おいしいものをゆっくり楽しむという構想にも合っていた。
「ここ10年くらいで湯河原はすごく変わりました。2拠点で暮らす人も多いんです。みなさん、週末になるとこちらへ来て、食べることを楽しんでいます」と柴田さん。
何度か湯河原に足を運んでいたサラさんは、「質の高いお店が多くて、新しい美食都市みたいになってるんです」と語る。
ちょうどその頃、山田医師夫妻と柴田さんは、それぞれ別の機会に、湯河原の豆腐店「十二庵」の店主である浅沼宇雄(たかお)さんと知り合っていた。そこで三人は、湯河原で地域ぐるみのロカボに取り組めないか、浅沼さんに相談することにした。
ここから、いくつもの偶然が重なり、町ぐるみの取り組みが一気に動き始める。1年後、90キロあった体重を16キロ落とす洋菓子店主が現れ、糖質のほとんど入っていないクラフトビールが町の中から見つかることになる。<後編へ続く>
《続きを読む→→》後編:体重90kgのケーキ店主も1年で16kg減…温泉街・湯河原が"町ぐるみ"で始めた「ビールもパスタも我慢しない」食べ方改革


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