祖父が残した土地の価値は低く、相談者は「このまま遺産分割協議を諦め、放置しよう」とも考えました。
しかし、自身にも子どもや孫がいるほか、他の相続人にも子どもや孫が多数いるため、このままでは世代交代するたびに関係する人がさらに増えていくのではないかと心配しています。
「今回でなんとか遺産分割協議を終わらせたいのですが、八方塞がりな状況で困惑しております」(相談者)。相続手続きを長年放置した結果、相続人が数十人、さらには100人規模にまで増えてしまった場合、不動産を売却するには本当に全員の同意が必要なのでしょうか。
正込健一朗弁護士が解説します。
まず相続人の確定が必要
相続人が100人を超える不動産でも、直ちに売却できなくなるわけではありません。ただし、亡くなった人の名義のまま遺産分割が終わっていない場合、通常は相続人全員の協力が必要ですので、労力、時間、費用がかかることは覚悟しなくてはなりません。
たとえば、曽祖父が単独名義で所有していた土地について、相続が何代にもわたって発生し、相続人が100人を超えているケースでは、まず戸籍を調べて現在の相続人を確定する必要があります。
出生から死亡までの戸籍を順番にたどり、相続人が亡くなっていれば、その相続人の子など、さらに次の相続人を調べます。住所がわからない場合は、戸籍の附票や住民票などを利用して所在を調査します。
古い戸籍は、保存期間の経過や災害などによって廃棄・滅失していることがあります。その場合でも、役所から「戸籍等を交付できない旨の証明書」などを取得し、残っている戸籍や他の資料と組み合わせて相続関係を確認できる場合があります。
相続人が海外に住んでいても、在外公館で署名証明を受けるなど、一定の手続により遺産分割協議をおこなうことができます。
外国籍者などの場合には、外国の公証人による証明等が必要になることもあります。このような例外対応が必要な場合には、戸籍調査の費用が予想以上に高額になることがあるので注意が必要です。

