戸籍を調べて、どうしても居場所がわからない相続人がいる場合でも、解決するための方法はあります。
たとえば、家庭裁判所に申し立てて、居場所がわからない人に代わって財産を管理する「不在者財産管理人」を選んでもらう制度があります(民法25条)。不在者財産管理人が本人に代わって遺産分割協議に参加する場合には、原則として家庭裁判所の許可が必要です(民法28条)。 また、生死が7年間わからない場合には、失踪宣告(民法30条)を申し立てる方法もあります。失踪宣告を受けると、原則として死亡したものとみなされますので(同31条)、そのことを前提に相続関係を整理できるようになります。 一方、登記上すでに複数人の共有名義になっている不動産については、居場所がわからない共有者がいても、裁判所の手続を利用して、その人の持分を買い取る(民法262条の2)、または不動産を一括売却する(同262条の3)制度もあります。
ただし、遺産分割が終わっていない場合は注意が必要です。原則として、相続開始から10年間はこれらの制度を利用できません。10年を経過すると、遺産分割に代えて一般的な「共有物分割」の手続(民法258条の2第2項)や、これら居場所がわからない共有者の持分取得・譲渡制度を活用できる場合があります。
相続登記は義務化、放置すれば過料も
なお、2024年4月1日から、相続登記が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが必要で、正当な理由なく怠れば、過料が科される可能性もあります。
そもそも、相続手続を放置すると、相続人がさらに亡くなって相続人の数が増え、戸籍・所在調査が一層困難になります。結果として、子や孫の世代に複雑な相続手続と費用負担を残すことになりかねません。
相続人が多い場合ほど、早めに専門家へ相談することが重要です。

