ただし、管理栄養士の則岡孝子氏は日刊ゲンダイの記事で、春雨はご飯やうどんと同じく糖質が多く、スープを飲み干せば塩分の取りすぎにつながると注意を促している。「ヘルシー」をうのみにせず、スープは残すくらいがちょうどいい。
七宝とは何が違う?外食大手ならではの勝負の仕方
では、菜菜麻辣湯は七宝と何が違うのか。筆者は名古屋市内の七宝麻辣湯(新栄店)にも足を運び、食べ比べてみた。
菜菜と同じ1辛で頼んだ七宝のスープは、旨味とコクが強く、濃厚な味わいだった。薬膳らしい香りもしっかり感じられる。七宝は鶏・牛・豚を煮込んだスープに30種類の薬膳を配合し、麺と具材をお湯ではなく特製スープで茹でているという。一杯全体にスープの旨味が行き渡っているのは、そのためだろう。一方の菜菜は、スパイスの刺激と唐辛子の辛さが前に出る。スープそのものは七宝に比べて比較的あっさりしていて、そこに辛さと香りでパンチを効かせている印象だ。同じ「薬膳スープ」を掲げていても、味の方向はかなり違う。
この薬膳らしさは、好みが分かれるところでもある。七宝によく通う20代の女性に話を聞くと、本人は薬膳の味を「全く感じない」という。ところが彼女の友人は、薬膳の味がするから七宝は好きではないと話していたそうだ。
それでも彼女が麻辣湯に通う理由は明快だった。「私は普段あんまり野菜を食べないのですが、麻辣湯なら美味しくいっぱい野菜をいただけるので、健康に良い」。七宝を選ぶのは、0.5辛という控えめな辛さを選べるからだという(0.5辛は菜菜にもある)。客層を聞くと「若い女性が多いです」と即答だった。
彼女の言葉は、日本で麻辣湯が支持される理由の一端を示しているように思える。筆者がオーストラリアの首都キャンベラで週2回食べていた麻辣湯は、白く濁ったコクのあるスープに薄切りの肉の旨みがダイレクトに届くガッツリ系の食事だった。筆者が日本で食べた七宝と菜菜は、いずれもそれとは別物だった。少なくともこの2チェーンを見る限り、日本の麻辣湯は「野菜をおいしく、たくさん食べられるヘルシー食」として打ち出されている。七宝がそのイメージを形成した結果だろう。
店側も、この需要をはっきり意識している。七宝の公式サイトは、30種類以上の薬膳スパイスや食物繊維の豊富な野菜をアピールし、麻辣湯を「ダイエットに最適なヘルシーフード」と紹介する。一方の菜菜は、プレスリリースで「美味しく・楽しく・ヘルシー。なのにしっかり満腹になる」と打ち出す。同じヘルシーでも、七宝は美容とダイエット、菜菜は楽しさと満腹感に軸足を置いていることがうかがえる。300gチャレンジのような遊びの仕掛けも、その延長線上にあるのだろう。
その日本型の麻辣湯の中で、両者は売り方も違う。まず値段だ。七宝はスープと春雨で税込620円、トッピングは1グラム3.1円。筆者が訪れた名古屋茶屋店は基本料金が649円とわずかに高く、グラム単価は同じ3.1円だった。ただし、菜菜の価格は店舗ごとに違う。公式Instagramの注文案内では基本759円・1グラム3.5円で、「店舗により価格、内容が異なる場合がございます」と注記されている。10月19日に開業したばかりのイクスピアリ店もこの価格だ。出店先に応じて値付けを変えているようだ。


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