INDEX
ビールは私たちにとって、最も身近な酒類の1つである。仕事帰りの一杯、家庭での晩酌、友人との会食。スーパーやコンビニには数多くの銘柄が並び、消費者は好みや価格によって自由に商品を選んでいると思っている。ところが、その自由な競争が損なわれていた可能性が浮上した。
10月7日、公正取引委員会(公取委)はアサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリーの大手4社に対し、独占禁止法違反の疑いで強制調査に入った。各社が卸売業者に販売するビール類の出荷価格について、値上げ幅や時期を事前に調整(カルテル)していた疑いである。
さらに共同通信によると、ビールだけでなく、缶チューハイやハイボールなどのRTD(ふたを開けてすぐに飲める酒類)も4社が一斉に値上げしていたとわかった。疑惑との関連は調査中だが、酒類市場の広い範囲に及ぶ可能性がある。
消費者は、本当の意味で「自由に選ぶ」ことができていたのか?
国内のビール類市場は1兆円を超える規模を持ち、また、大手4社が9割以上のシェアを占める寡占状態にある。寡占市場では、少数の企業が互いの動向を強く意識する。競争が激しくなれば価格が下がり、消費者は利益を得るが、競争相手同士が協調して価格を維持すれば、消費者は高い価格を支払わされることになりかねない。
スーパーの棚に多くの銘柄が並んでいても、それらを供給する主要企業が価格を調整していたとすれば、消費者は本当の意味で価格を選ぶことができない。4社が市場の大部分を占める状況では、疑惑の対象となった企業の商品を買わないという消費者の選択にも限界がある。


※ログイン後、コメント入力が可能です。