東日本大震災で国土交通省東北地方整備局長として現場の総指揮を執り、後に国土交通事務次官となった徳山日出男氏。その胸の内を本人が語った「ドキュメント・危機のリーダー」(今年4~7月配信)は、多くの方に読んでいただけました。
続編となる「組織論編」では、徳山氏の下で組織がどう動いたのかを、政治・政策アナリストの蔵前勝久氏が関係者の証言から描きます。2回目は、当時の国土交通相の胸の内と、徳山氏に全権を託した判断について。
その言葉を聞いたとき、国土交通相(当時)の大畠章宏は、背筋に寒気が走った。
「過去の事例を見ると、死者は2000人を超える可能性があります」
2011年3月11日午後2時46分、大畠は参議院決算委員会に出席していた。激しい揺れが国会議事堂を襲い、シャンデリアが大きく揺れた。参院決算委員長の鶴保庸介が休憩を宣言し、閣僚たちが首相官邸に徒歩で向かう最中のこと。大畠は大臣秘書官の久保田雅晴から「死者2000人超」という被害予測を耳打ちされたのだ。
その後、震災関連死を含む死者・行方不明者は2万2000人を超えた。大畠がこのとき想像した規模を、はるかに上回っていた。
官邸のエレベーターは止まっていた。
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