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「一番好きなジーンズを解体してみろ」"衣服標本家"生んだ父の教え…120年前フランスの消防服に見つけた"直すための余白"

11分で読める
長谷川彰良さん
貴族が舞踏会で着用していた真っ赤な燕尾服を整える長谷川彰良さん(写真:筆者撮影)
  • 久保 佳那 ライター・ブックライター
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長谷川さんは、忙しい日々の中でも研究と発信を続けていた。社会人3年目を過ぎた頃には、外部のパタンナー向けのセミナーや研究発表を行う機会も得た。別の会社から「うちのブランドのパターンを引いてくれませんか?」というオファーも届くようになった。

自身の技術を発信し、社外の人とのつながりを持ち続けていた長谷川さんは、知らず知らず、自分の基盤を築いていたのだ。そして、2016年にフリーのパタンナーとして独立するのと同時に、新たな試みを始める。

「これまでの自分の研究を、展示という形で表現してみよう」

長谷川さんが10年続けている「半・分解展」の始まりだった。自分だけが消防服の内側を見て感動して終わるのではなく、ほかの人にも本物の衣服を見て、触れて、確かめてもらいたい。そのために、分解して見えるようにした構造と歴史的な衣服の実物を並べる展示だ。

初めての試みだったが、「不安よりもワクワクのほうが大きかった」と長谷川さんは言う。

「当時は長男が生まれたばかりで、普通に考えるとチャレンジしにくい状況かもしれませんが、楽しかったですね。妻がとても理解のある人で、経費の一部を貸してくれました」

そうして2016年10月、最初の半・分解展を、東京・愛知・京都で開催した。東京と愛知は入場料を1000円に、京都は無料だった。すると、東京と愛知でそれぞれ600人以上が訪れ、3会場合計で1400人が来場した。これまでにない形の展示が話題を呼び、来場者は知人から知人の知人へ、そして見知らぬ人へと大きく広がった。

半・分解展 2016年京都展の様子(写真:長谷川彰良)

展示には100万円以上の経費をかけていたが、入場料などの収入から会場費や制作費を差し引くと、現金は約5万円残った。この結果に、長谷川さんは大きな手ごたえを感じた。

「展示をやると周囲に話したら、『展示は広告のようなもので、収益は期待できない、赤字を覚悟したほうがいい』と言われていました。でも、初回の試みでわずかですが黒字になったので、やり方を改善すれば、今後も続けていけるんじゃないかと思いました」

入場料を2倍にしても、来場者は増えた

他の仕事を続けながら、2回目の『半・分解展』を2018年5月に東京、6月に愛知で開催した。会場は前回と同じで、入場料は前回の2倍の2000円にしたという。なぜ、2倍に?

「前回は無料開催した場所もあったのですが、貴重な服に安心して触れてもらうため、展示の運営を続けられる価格に見直しました」

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