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「一番好きなジーンズを解体してみろ」"衣服標本家"生んだ父の教え…120年前フランスの消防服に見つけた"直すための余白"

11分で読める
長谷川彰良さん
貴族が舞踏会で着用していた真っ赤な燕尾服を整える長谷川彰良さん(写真:筆者撮影)
  • 久保 佳那 ライター・ブックライター
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歴史的な実物の形を型紙に起こし、現代の人が着られるサイズのサンプルも用意した。来場者は袖の動きや体への沿い方を、着用して確かめられる。

それが好評を得て、入場料が2倍になっても、来場者は2000人以上と前回よりも増えた。さらに、サンプルを作ったときに起こした型紙を、1点1万5000円で販売するという試みも行ったところ、初回12日間の売り上げは実に100万円以上になった。(型紙が売れるからくりと長谷川さんの収益構造については、前編で詳しく紹介している)

この成果を受けて、長谷川さんはフリーで受けていたパタンナーやデザインの仕事を辞め、「衣服標本家」に関連した活動だけに集中することにした。半・分解展の開催と、型紙の販売は、その後の長谷川さんの活動を支える基盤となっていく。

今年11月に東京、12月に愛知で開催する「半・分解展」は、10周年を記念して紳士服だけに絞った内容になるという。テーマは、10年前に初めて展示を行ったときと同じ「ジェントルマンスタイル」だ。入場料は徐々に金額を上げていて、今年の開催分は、前売り5800円、当日券7000円で販売中だ。

半・分解展を今年も開催する(写真:長谷川彰良)

何度も見て、時間をかけて触れ、確かめてほしい

「前売りの価格を安くしているのは、長年来場していただいている方にお得に来てもらいたいからです。当日券は『仕事で世界中を飛び回っていて、タイミングが合ったら来たい』という方が利用されたりしています」

チケットはフリーパスになっているため、一度チケットを買えば会期中は何度でも入場できる。歴史のある衣服を一度で見終えるのではなく、時間をかけて触れ、確かめてほしいと考えているからだ。

「なぜこの服を美しく感じるのか」

一着の消防服の内側に見つけた技術を、自分だけの発見で終わらせない。実物を集め、構造を読み解き、誰もが本物に触れて確かめられる場をつくる。少年時代に教わった「服を解体して学ぶ」方法は、いま、多くの人に服の見方を手渡す仕事になっている。

1900年代イギリスの英国陸軍服。その形状から「肋骨服」と呼ばれている(写真:長谷川彰良)
《合わせて読む→→》前編:数百万円《18世紀貴族の服》を分解する男…「買う人はいない」と言われた型紙が15000円で売れて「依頼の9割を断れる」ワケ

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