歴史的な実物の形を型紙に起こし、現代の人が着られるサイズのサンプルも用意した。来場者は袖の動きや体への沿い方を、着用して確かめられる。
それが好評を得て、入場料が2倍になっても、来場者は2000人以上と前回よりも増えた。さらに、サンプルを作ったときに起こした型紙を、1点1万5000円で販売するという試みも行ったところ、初回12日間の売り上げは実に100万円以上になった。(型紙が売れるからくりと長谷川さんの収益構造については、前編で詳しく紹介している)
この成果を受けて、長谷川さんはフリーで受けていたパタンナーやデザインの仕事を辞め、「衣服標本家」に関連した活動だけに集中することにした。半・分解展の開催と、型紙の販売は、その後の長谷川さんの活動を支える基盤となっていく。
今年11月に東京、12月に愛知で開催する「半・分解展」は、10周年を記念して紳士服だけに絞った内容になるという。テーマは、10年前に初めて展示を行ったときと同じ「ジェントルマンスタイル」だ。入場料は徐々に金額を上げていて、今年の開催分は、前売り5800円、当日券7000円で販売中だ。
何度も見て、時間をかけて触れ、確かめてほしい
「前売りの価格を安くしているのは、長年来場していただいている方にお得に来てもらいたいからです。当日券は『仕事で世界中を飛び回っていて、タイミングが合ったら来たい』という方が利用されたりしています」
チケットはフリーパスになっているため、一度チケットを買えば会期中は何度でも入場できる。歴史のある衣服を一度で見終えるのではなく、時間をかけて触れ、確かめてほしいと考えているからだ。
「なぜこの服を美しく感じるのか」
一着の消防服の内側に見つけた技術を、自分だけの発見で終わらせない。実物を集め、構造を読み解き、誰もが本物に触れて確かめられる場をつくる。少年時代に教わった「服を解体して学ぶ」方法は、いま、多くの人に服の見方を手渡す仕事になっている。


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