「会社の中では評価されませんでしたが、自分の好きなものを表現することは諦めたくなかった。そこで、自分が服を解体して知ったこと、例えば、1890年代のスーツの縫い目がどうなっているかなどマニアックな内容を、ブログで発信していました」
師匠の教えは「技術を何一つ隠すな」
ブログを書くうえで大事にしていたのは、「持っている技術を何一つ隠さずに発信する」ことだ。
「僕の師匠である、岡山県にあるワークウェアとジーンズ製造卸を行う『WORKERS』の舘野高史さんの教えです。『技術者やクリエイターは、自分の技術を隠したがる気質があるけれど、それをすべて出していきなさい』と言われていました」
実は、舘野さん自身が自分のやっていることを、ブログで発信する人でもあった。そのブログのファンだった長谷川さんが、学生時代に夜行バスに乗って、舘野さんに会いに行ったことから付き合いが始まった。
舘野さんは、理想のデニムシャツを作るためにアメリカに渡航し、何十年も前に倒産したデニムメーカーを営んでいた人の孫を探し出したそうだ。そして、「あなたのおじいさんが昔作っていたシャツを作りたい」と伝えて、当時の写真や資料を見せてもらい、ブランドを立ち上げたこともあるという。その行動力や発信から、長谷川さんは大きな影響を受けた。
師匠を見習って発信を続けていくうちに、「もっと教えてほしい」と他ブランドのデザイナーや縫製工場の人から連絡が来るようになっていく。
この「技術を何一つ隠さず共有する」姿勢は、前編で長谷川さんが語った「自分の活動をまねされても構わない、むしろ歓迎したい」という姿勢の原点でもある。それは後に、実物の衣服に来場者が触れられる「半・分解展」にも受け継がれている。


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