有料会員登録
ビジネス

「数字に気を取られると間違える」ゴディバのフランス人社長が貫く「正射必中」の経営《30年以上続ける弓道の教え》

10分で読める
ゴディバ
ベルギー王室御用達のプレミアムチョコレートブランド「ゴディバ」の挑戦とは?(写真:ゴディバジャパン)
2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES
(写真:ゴディバ ジャパン)

なぜ「思わぬ」だったり、「想像もつかなかった」のかといえば、そんなことは考えてもいなかったからです。本当に一つひとつのパート、やるべきことを一生懸命やっていたら、知らないうちにポーンと当たっていた。売り上げは、お客様がくださるご褒美ですから。

よい仕事をすることそのものに喜びや愛情を持ち、自然と、やるべきことを一生懸命にやる日本の人々の姿勢は、世界でも珍しく、これは日本の文化やマインドセット、つまり日本の心、の持つ、とても大きく独自の強みだと思います。

『挑戦するブランド、ゴディバ』(Gakken)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「自然の離れ」に従ったゴディパン

——ゴディパンの成功も同じような状況だったのですか?

シュシャン はい。実はゴディパンもそうでした。

それまでに手がけたことがないパン事業で、知らないことばかりの中、本当に一生懸命、やるべきことをやっていった。当てようとか、数字を取ろうとか、そんなことは考えなかった。

その証拠に、ゴディパンの有楽町の1号店のオープンは8月でした。夏の真っ盛りに、焼きたてのパン。そして、チョコレート。もし、数字を出そう、ビジネスを当てよう、と考えたら、夏にオープンするなんて、考えられない。チョコレートやゴディバへの関心が自然と高まるバレンタインシーズンなどを狙うのが王道です。

ゴディバのベーカリーショップ「GODIVA Bakery ゴディパン」は世界初の出店だった。日本生まれの菓子パン「チョココロネ」をアレンジした商品や、カカオフルーツのクリームパン、ショコラティエの焼きカレーパンなどオリジナリティあふれる商品などが話題(写真:ゴディバ ジャパン)

ところが8月。この時期にオープンすることになったのは、いろいろな偶然が重なったご縁だろう、くらいにしか思いませんでした。

弓道の用語に「自然の離れ」という言葉があります。これは、「誠(まこと)」をもって正しいプロセスを一つひとつ積み重ねていくことで、やがて無理に意図したり力を加えたりすることなく、自然と「離れ」が生まれ、その先によい結果への道が開かれていく、という意味です。

自分にできるベストを尽くす。すると、自分には予測もコントロールもできないタイミングで、自然と事が起こるのです。

このとき私は、ビジネスにおいてもまた、「自然の離れ」が起こり得るものであり、それは計算して生み出せるものではないのだと気づきました。

ゴディパンも「自然の離れ」に従った。それが、たまたま8月だったのです。そして、大ヒットしました。あれやこれや計算するより、知らないうちにやってくる「自然の離れ」に従ったほうがよいことが生まれる。私がずっと意識してきたことです。

ただ、あの暑さの中で長い行列に並んでいただき、お待たせしてしまったことは、お客様に申し訳ないことでした。この点は本当に反省しています。

2026年8月31日には九州初となる「GODIVA Bakery ゴディパン 大丸福岡天神店」がオープンした(画像:ゴディバ ジャパン)

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数