筆者は『経営教育』(角川新書)でこの3つを「価値創造三種の神器」と名付け、経営思考の土台として位置づけた。『経営教育』をすでにお読みの方は重複となるが、経営思考への理解を深めるため、あらためて丁寧に解説していきたい。
「価値創造三種の神器」は、過去・現在・未来という、私たちが日々向き合う3つの時間軸の問題に対応している。人は変えられない過去を悔やみ、目の前の対立や葛藤に苦しみ、未来への希望を見失う。価値有限思考から価値無限思考へ見方を転換するには、価値創造三種の神器を手がかりに、過去・現在・未来を一歩ずつ「価値創造」の営みへ変えていく必要がある。
この価値創造三種の神器は、ピーター・ドラッカーのマネジメント理論、トヨタ生産方式やエリヤフ・ゴールドラット博士の制約理論、そして京セラ創業者・稲盛和夫氏の京セラフィロソフィといった先人たちの知恵を、誰もが日常で使えるかたちに筆者が整理し直したものだ。本稿では「七転八起の四角形」について詳しく説明したい。
ヒト・モノ・コトの価値を再発見する
まず「七転八起の四角形」とは、自分では変えられないヒト・モノ・コトの価値を再発見するための道具立てである。ドラッカー経営学に通底する「誰かの弱みを、別の誰かの強みで打ち消す」という発想を、人だけではなく、身の回りの物やすでに起きた出来事に広げたものだ。


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