「2027年の製品化を目指している」と担当者は話す。製品化後は、PoC(概念実証)を行い、実現可能性を検証する方針だ。
三菱電機がイノトランスでライダーの技術を紹介したということは、海外での展開も見据えているのだろうか。ドイツ鉄道グループの開発する前方検知システムが300~500m先の人や障害物を検知するのに対し、三菱電機のライダーは600m先の人や障害物を検知できるだけに、この「千里眼」ライダーの技術は大きなアドバンテージとなりうる。
担当者は海外展開について「何年にサービスを開始するといった明確な計画があるわけではない」としたうえで、こう話す。
「各地域・各国の鉄道保安基準を確認するとともに、海外展開に必要となる鉄道分野の国際規格への対応についても確認を進めている。欧州についても、障害物検知に関する標準化・規格化の動向を確認しながら地域ごとの要件に応じた海外展開の可能性を検討していく方針だ」。
今回の展示によって三菱電機の技術に関心を示す企業があるか、まずは成り行きを見守りたい。
三菱電機が開発する自動化技術は車両の運転に関するものだけではない。例えば、駅務員のシフト作成を省力化する「デジタル作業ダイヤ」がその1つ。イノトランスでは展示されなかったが、現場で役立ちそうな技術である。
駅員シフト作成に悩む現場
鉄道事業者の駅務員の勤務体系は夜間宿泊を含む24時間体制の泊まり勤務や早番、遅番など多岐にわたる。泊まり勤務後は非番となるといった勤務ルールもある。従来は駅長などの担当者が駅務員一人ひとりのシフト希望を聞きながら、エクセルなどのツールを使って手作業で複雑なシフトを作成していた。
急な欠勤者が出た場合にはシフトを作成し直す必要があり、これらの業務には多くの時間を必要とする。汎用品のシフト作成ツールは駅務員の勤務体系やルールに対応しきれず、シフト作成の自動化・省力化が課題となっていた。
そこで、三菱電機はAI技術も活用しながら、駅務員のシフト作成・管理・調整を実現するデジタル作業ダイヤのプロトタイプを開発。2027年までのサービス提供開始を目指す。
開発を担当した三菱電機モビリティインフラシステム事業部の橋本勝嗣氏と山田哲太郎氏に話を聞いた。開発のきっかけは、電機品などの部品の営業活動を通じて、鉄道事業者の多くがシフト作成における悩みを抱えていることに気づいたからだという。しかも、駅務の現場では人手不足が進行しており、従来よりも少ない人員数でシフトを作るとなると、これまでの経験に基づくノウハウも通用しなくなる。そこで、AIなどのデジタル技術を活用したシフト自動作成の開発に着手したという。

