欧州の新型車が集結「列車のテストコース」とは? 各国の鉄道技術支えるチェコの巨大な「周回線」

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TGV-M ヴェリム試験センター
フランス・アルストム製の新型高速列車TGV-Mの走行試験。ヴェリム試験センターでは時速200km以上の高速走行も可能だ(撮影:橋爪智之)

自動車の世界には、新車や新技術の開発のために高速走行や耐久試験などを行うテストコースがあることはよく知られている。では、鉄道の世界にもそのような試験用の線路が存在するといえば驚かれるだろうか。筆者の過去の記事でも触れたことのある、チェコの「ヴェリム試験センター」がそれだ。

ここではまだ公開されていない最新型車両のスクープ映像が激写されることもたびたびあり、欧州進出を狙う中国中車(CRRC)製の新型電車「シリウス」が運び込まれた時は大きな注目を集めた。日立レール製の新型トライブリッド車両「マサッチョ」も、完成したばかりの車両がここへ運び込まれて試験走行を行った。

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2つの「周回線」でテスト走行

ヴェリム試験センターの正式名称は「鉄道研究所」Výzkumný Ústav Železniční(VUZ)。チェコ共和国中央ボヘミア地方ヴェリムの郊外に位置し、管理棟や工場建屋などが位置する場所が隣町のツェルヘニツェに位置することから、ツェルヘニツェ鉄道試験周回線と呼ばれることもある。VUZはチェコ鉄道の子会社で、この試験センターもチェコ鉄道が保有、管理している。

【写真】新型TGVをはじめアルストム、シーメンスなど欧州大手メーカーの新型電車や機関車、そして欧州進出を狙う中国製車両も走行試験を行う「ヴェリム試験センター」。テスト中の新型車両の貴重な姿を一挙公開

試験センターには大小2つの周回線があり、大周回線(VZO)の内側に小周回線(MZO)が敷かれている。大周回線の総延長は1万3276m(約13km)で、長さ1979mの直線2区間と、長さ4136m・半径1400mの曲線2区間で構成されている。最大軸重は25t、最高速度は非振り子式車両で時速210km、振り子式車両は事前承認を得ることで時速230kmまで許可されている。

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