そして、上司は、個々の人々が何をしているのかあまり見えてないということもよくある。これはもう自主性が高まる方向へしか向かいません。そうなると、自主性を持った人たち同士はどう連帯するのかということが大きな課題になってきます。
実は、私が働いていたコンサルティング会社の社長も常にこう言っていました。「コンサルティング会社は10倍の規模の会社を運営するのと同じぐらい面倒だ。うちは300人しかいないけど、3000人規模のマネジメントが必要とされる」と。自主性を持つ人々の組織をマネージするのは本当に難しいのです。
そして、その技術はまだ完成されていません。企業の人事の方はよく「自走する社員を育てたい」と言いますが、その割にはルールで縛って全然自走させなかったりします。
しかし、これは「ルールで自主性を縛るか、放任するか」という二者択一ではなく、もっと高次元の解決策が求められているところだと思います。本書ではヒントとなる枠組みが与えられていますし、そこからもっと面白い議論ができるのではないでしょうか。
なぜ有能な人ほど謙虚であるべきなのか
ヒッペル氏は前著『われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか』(ハーパーコリンズ・ジャパン、2019年)で、狩猟採集民の中では、獲物を捕ったことを自慢するような人間はまずい存在だったという話とともに、有能な人は絶対に謙虚で親しみやすくなければいけないということを書いています。まったくその通りだと思います。
狩猟採集時代は、狩りが成功しなければみんなが飢え死にしますから、能力は絶対に必要です。ただ、それでも狩りで成功した人間が傲慢ではまずい。
やはり、現代の「営業成績トップの人ほど謙虚にしなさい」という主張は正しいのだと思います。そうでなければ放逐されてしまうので、成果や有能さによって人を従わせたり、つながりを築くことは不可能だという良い主張ですね。


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