「どんなに好ましくないことからでも、逃げるのは負け」であり、「真に逃れるためには、その只中へ進んでいくこと」が信条でした。窮状をむしろ愉しみ、格闘するうち、心も体も慣れてなじみ、難しいことがたやすく、楽しいことに変わるという強靱なメンタル。
自分の人生を丸ごと抱きしめ、とことん面白がり、最後まで愉しみ尽くす。これが千代の生き方でした。
また、千代は「言葉の持つ魔力」を知っており、言葉ひとつで人はやさしくなり、幸せになれると説きます。
ままならぬ世の中、宇野千代の言葉や生き方は、幸せな人生を手に入れるためのヒントとなるでしょう。
私の中の「ふるさと」
私はいまから二十年くらい前までは、自分の故郷岩国の話をすることがあまりなかった。
人はよく「私の田舎では」と言うが、私にはあの習慣がなかった。
この話はこれまでに幾度も書いたことであるが、私は女学校を卒業して、小学校の教師になった。ここで私は新任の男の教師に心を奪われた。授業中にその男に手紙を書いて、生徒に持って行かせたりした。


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