食品ロスに関心があれば、フードバンクや子ども食堂はおなじみだろう。こうした食べ物を救う取り組みは全国に広がっている。ただ、その支援の輪に乗せられない「盲点」がある。賞味期限切れ間近やパッケージ不備で、企業が廃棄コストを払ってまで捨てている「お酒」だ。この行き場を失った一杯をどうすれば価値に変えられるのか。累計400万食を子ども食堂に届けてきた秋山宏次郎氏が、自ら考案した「モッタイナイ寄付バー」の仕組みを解説する。
毎日おにぎり1個を捨てる日本人
日本の食品ロス量は年間約461万トン(農林水産省・環境省の2024年度推計値)。これは、日本人全員が「おにぎり約1個分(約100g)」の食べ物を毎日捨て続けているのとほぼ同じインパクトだ。この数字の裏にあるのは、個人の家庭ごみだけではない。問屋や小売店が賞味期限までの一定割合を過ぎた商品を受け取らないといった厳格な流通ルール(いわゆる3分の1ルール)や、予期せぬトラブルによって、事業者側でも大量の廃棄が発生している。
これまで筆者は、一般社団法人こども食堂支援機構の代表として、全国の子ども食堂へ累計400万食を超える食料を届けてきた。
その支援物資の約半分を占めているのが、いわゆる「ワケアリ品」だ。品質や安全性にはまったく問題がないにもかかわらず、外装の段ボールが少し凹んだだけで納品拒否された商品や、農家が丹精込めて育てた規格外野菜などがこれに当たる。
筆者も以前、山のようなトマトのホール缶を子ども食堂に届けたことがある。メーカーいわく、「工場の製造ラインのトラブルで、生産ロットの9割は通常品だが1割にトマトの実が入っていなかった。明らかな不良品が含まれていると市場に出せないので、その生産ロットの商品すべてが販売できなくなった」という話だった。
こうした特殊な事例も加わり、清涼飲料水や各種食品の寄付は順調に増えていった。農家やメーカーが泣く泣く捨てていた飲食品を寄付された子ども食堂からは、「物価高でどうしても節約せざるをえない状況のため、こうした寄付はたいへんありがたい」と感謝され、日々手応えを感じている。
ただ、中には支援の輪に乗せられないものも存在する。その代表格が、酒類メーカーや流通業者が悩んでいる「お酒(アルコール飲料)」の廃棄だ。
当たり前の話だが、子ども食堂に届ける支援物資にお酒は含められない。また、生活困窮者支援を行う一般的なフードバンクでも、アルコール類の取り扱いは基本的に不可だ。嗜好品だからという理由が表向きには語られるが、生活困窮者のアルコール依存症を誘発してしまわないための配慮という面もある。
ある酒類メーカーに状況を聞くと、賞味期限が迫った商品やパッケージ不備のあったお酒について「一部は社内販売などで消費するが、膨大な量が廃棄処分に回ってしまう」と頭を抱えていた。
ここで冷静に考えてみてほしい。企業が商品を廃棄する際には、「処理費用」が必要となる。企業はお金を払い、環境負荷(二酸化炭素排出など)をかけて、「まだおいしく飲めるはずのお酒」を大量に捨てているのだ。
この不条理なコストと資源の無駄を、なんとか価値へ転換できないか――。そう考えて行き着いたのが、「モッタイナイ寄付バー」という立食パーティーだ。
(10月20日に実施予定。詳しくはこちら)
仕組みは至ってシンプルである。
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