飛雄馬自身の回復も必要になります。具体的にはまずトラウマケアや心理的サポートが必要です。つまり、 一徹の暴言と暴力、そして強圧的なトレーニングによるPTSDからの回復、愛着形成の歪みに対する児童精神科医や公認心理師などによる長期的カウンセリングです。
また、子どもの意見表明権(子どもアドボカシー)の保障も必要です。父親への複雑な忠誠心や葛藤を抱えやすい心理状態を考慮し、中立な立場の支援者(アドボケイト)が本人の真の意向を丁寧に汲み取る仕組みを作ることが重要です。
姉の明子の回復も必要です。明子は母親不在の家庭で、長期にわたってヤングケアラーとして過重な家事労働を強いられ、父と弟の面倒を見続けてきたからです。明子は遊びたいとか甘えたいなどの自分の欲求を抑え込み、他者を優先し続けてきました。
今の時代にも多い一徹タイプの親
そうした子の場合、「他者の役に立たなければ自分には価値がない」という過剰な自己犠牲の精神が刷り込まれている可能性があります。
明子は父親による弟に対する暴力や暴言を日常的に目撃してきました。その面前DVによる被害で生じたトラウマのケアも必要です。
飛雄馬と明子は児童相談所に一時保護されてから、児童養護施設やグループホームに、あるいは里親に育てられることになるかもしれません。一徹の更生と飛雄馬や明子の回復、この両面での進み具合にもよりますが。
親子同居を再開するにしても段階的な親子関係の修復が必要です。すぐに同居を再開するのではなく、児童相談所内での短時間の面会交流から始まり、外出、週末の外泊と、子どもに恐怖心やフラッシュバックが起きないかを確認しながら数ヶ月〜数年かけて慎重に進められます。
星一徹は完全な毒親です。自分の夢や理想をわが子に押しつけて、子どもを自分の夢と理想の実現のための手段にしているからです。これは子どもの人生を親が横取りして搾取しているわけで、絶対に許されないことです。
でも、実は今の時代でも一徹のような親はけっこういます。中学受験などで勝手に目標を決めて線路を敷き、子どもに強いる親は同類ではないでしょうか。習い事やスポーツでも同類の親はけっこういます。
彼らは昭和の一徹ほど露骨ではなく、そのぶんより巧妙になっているかもしれません。でも、やっていることの本質は変わりません。


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