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大胆な構想と運用の脆さ、安倍晋三の全人像を描く 『安倍晋三 平成・令和の光と闇』服部龍二氏に聞く

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『安倍晋三 平成・令和の光と闇』の著者
『安倍晋三 平成・令和の光と闇』の著者、中央大学総合政策学部教授の服部龍二氏(撮影:梅谷秀司)

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安倍晋三元首相が亡くなって4年。通算8年8カ月間に及んだ憲政史上、最長政権の評価はいまだ定まっていない。これまで、幣原喜重郎、広田弘毅、佐藤栄作、田中角栄、大平正芳、中曽根康弘らの評伝を著してきた外交史家・政治学者が、安倍の生涯を描きつつ、安倍政治を総括した。

──安倍元首相の評伝はいつ頃から構想しましたか。

『安倍晋三 平成・令和の光と闇』(服部龍二 著/中公新書/1210円/272ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

通算在任日数が桂太郎を抜いて歴代最長となった2019年11月ごろから、いつかは書きたいと考えるようになった。20年から執筆を構想し、情報公開法を用いて、内政や外交の行政文書を入手し始めた。ただし、安倍は首相退任後に最大派閥の長となっており、執筆はそうとう先になると考えていた。

しかし22年7月に銃撃死事件が起きた。

没後は旧統一教会や安倍派の裏金問題をめぐる報道が続いたが、それだけでは安倍政治の本質を捉えきれないと考えた。生い立ちまでさかのぼり、内政と外交・安全保障を総括したいとの思いが強まった。

──安倍政権の外交・安全保障を高く評価している面があります。

外交での最大の功績は、日本を既存の国際秩序の受け手から「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」という秩序構想の提案者に転じさせたことだ。FOIPは台頭する中国を念頭にインド太平洋で「自由貿易」や「法の支配」を重んじ、地域の安定と繁栄を目指すもので、主要国の共通言語になった。

日本の首相の構想がこれほど主要国に浸透したのは初めてであり、卓越した構想力を示すものだ。

構想の大胆さと運用のもろさが並存している

──しかし「安倍をリアリスティックな戦略家と評するには、留保を要する」と辛口です。

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