そもそも茨城県がこのような措置に踏み切ったのは、救急搬送のケースの約半数を軽症患者が占め、救急医療現場の逼迫が懸念されたからだ。
救急医療の世界では「病院収容所要時間」という指標がある。119番通報(入電)を受けてから、救急隊が患者を病院へ搬送し、医師に引き継ぐまでに要した時間のことだ。患者の救命率の向上と重症化・後遺症の防止のために大事なことで、どれだけ短縮できるかが課題になっている。
「この病院収容所要時間について、全国平均が44.6分(2024年)のなかで、茨城県は2.5分長い47.1分でした。これに対して危機感を覚えた」と保健医療部医療局医療政策課の担当者は、緊急性が認められない場合に選定療養費を徴収する措置を講じた理由を話す。
同県は、この措置をスタートすれば、県民からの問い合わせは来るだろうと予想していた。
「それでも、緊急性が低いにもかかわらず、緊急要請しているケースを適正化したいという思いが背景にあった。医療機関には医療に、救急隊には患者搬送に、それぞれ集中してもらうため、県民や患者への説明は県が一手に引き受けた」(担当者)
選定療養費についての問い合わせは、県の医療政策課が対応して、病院や救急隊への苦情につながらないよう問い合わせ窓口の電話番号を各所に明示している。
制度開始後3カ月の問い合わせは91件に上り、そのうち6件が選定療養費徴収への不満だった。その後、制度自体が周知され、最近の3カ月(2025年12月~2026年2月)の問い合わせは全体で12件にとどまり、不満申し立ては4件となるなど、減少傾向だ。
子どもは#8000、大人は#7119
「数日前から熱が出ていたのだけど、原因がわからないので救急を呼びましたとか、包丁で指先を切って血が出てしまったとかは、自身で判断しやすいかもしれません。一方で、例えば子どもの急なケガで迷ってしまった場合などは、『救急安心センター事業』を活用するよう促しています」(担当者)
救急安心センター事業は総務省消防庁が推進する制度で、全国42地域で実施されている。茨城県もその1つだ。子どもは#8000、大人は#7119にかけると、医学的観点から作成された緊急判定プロトコル(手順)に従って、看護師などが緊急な事態かどうかアドバイスをしてくれる。


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