県を挙げた取り組みの効果は出てきている。
2025年の救急車出動件数は、前年比5.4%減の15万3921件、搬送人員は同じく5.1%減の13万7780人となった。単に出動件数が減っただけでなく、その内容にも変化が見られた。
2025年12月から2026年2月までの3カ月の検証期間のデータをみると、同期間の救急搬送件数は2万2502件で、そのうち選定療養費を徴収されたケースは587件だった。最も多かったのが打撲(44件、7.5%)で、以下、風邪症状(43件、7.3%)、めまい・ふらつき(41件、7.0%)、腹痛(35件、6.0%)、泥酔・酩酊(23件、3.9%)などと続いた。
さらに、取り組み前は救急搬送の半数近くを占めていた軽症患者は、期間中では39.2%(1万3673件)に減り、中等症以上の患者が60.8%(2万1187件)を占めた。
一方で、この取り組みの難しさも浮き彫りになっている。
ある学校で生徒の具合が悪くなり、教師が救急要請した結果、緊急性があると認められず選定療養費を徴収されることになった。それに対して、生徒の保護者が学校にクレームを付ける事態が発生したのだ。以来、水戸市を含む4つの市町では、教育現場に負担がかからないように選定療養費を全額補助する措置を取っている。
医師が指摘「救急車を呼ぶ目安」
前出の井上医師は、「県の取り組みがスタートして以来、軽症者の救急搬送が少なくなった印象を受ける。一方で、救急車を要請しなかったことによって重篤化した事例は現時点で報告されていない」と話す。
救急車を呼ぶかどうかと迷った場合には、先に茨城県が挙げたガイドラインが有効ではないかと話す。
「医学的に緊急性が高いとか、重症だとかいっても、一般の人が理解するのは難しい。いつもに比べて『息が吸いづらそう』『呼吸が早い』『受け答えがおかしい』『脈がふれづらい、速い・遅い』『顔色が悪い』『痙攣(けいれん)している』などの症状があったら、救急車を呼んでほしい。迷うときは時間的余裕があれば、#7119や#8000への相談をしてほしい」と話している。


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