そうして数々のOEMを手がける一方、自社製品も造っている。そのテイストの核にあるのは、意外にも「和」ではない。日本にいるのに、なぜ彼らは和のボタニカルで勝負しないのか。
2019年から2024年の5年間で、ジンの市場は約3.5倍の、250億円に伸びている。ジンのボタニカルにはヒノキ科の針葉樹の実である「ジュニパーベリー」が必須だが、それ以外には特に決まりがなく、個性を出しやすい。日本ではここ数年、ゆずや山椒、緑茶など、和をイメージする素材を使った「ジャパニーズクラフトジン」の製造が盛んになっている。
しかし彼らは、愛媛県産のみかん、瀬戸内レモンなど、なるべく日本の素材を用いながらも、世界に通用するトラディッショナルなドライジンを造ることを目指してきた。乾杯の合言葉は「Be Classic!」。和を表現する特別なボタニカルを入れずに、和食のように全体のバランスで日本を表現しているのだという。
2022年に開業してからの4年間で、彼らのジンは東京ウイスキー&スピリッツコンペティションの最高金賞やWorld Drinks Awardsの金賞(ベストインカントリー)など、品評会で数々の賞を受賞してきた。
信念に反してジャパニーズジンを造る理由
今は自分たちの製品もバリエーションを増やし、ゆずや桜の葉など、日本らしいボタニカルを使用した商品も販売している。「Be Classic!」の信念に一見反するように思えるが、その理由をボブさんが教えてくれた。
「取引先の方やお客様から『ふたりはアメリカ人で日本のボタニカルに慣れていないから、ジャパニーズクラフトジンじゃなくてドライジンを造っているんでしょ』と言われたことがあって。これは挑戦状だぞ、と思いました」
四季の名前をつけた「春」と「秋」を販売しており、今後は「冬」と「夏」も造る予定だ。ただしこれも、その季節らしいボタニカルを使用するというわけではなく、その季節のイメージを考え、合うボタニカルを選んでいる。


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