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"日本産ジン"が本場イギリスで「年43万本」も売れる奇跡…来日30年のアメリカ人2人が造る《住宅街のドライジン》の正体

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ジン
千葉県野田市でジンを造っている、マイケル・ピアスさん(左)とロバート・ストックウェルさん(写真:筆者撮影)
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では、このような大口の取引先をどうやって見つけたのか。 尋ねると、ボブさんから意外な答えが返ってきた。

「ご縁ですね」

出会いは、ウイスキー&スピリッツフェスティバル。TL PEARCEのジンがおいしいと聞きつけたクライアントからのアプローチだった。

「3日でプロトタイプ」の秘密

「もともと他社でOEMとして造っていたそうですが、プロトタイプを造るのにも数カ月かかるという相談を受けて、『僕たちだったら、3日でできます』と。マイケルはレシピを作る天才なので、3日後にはプロトタイプを2つか3つ出せて、その中から選んでもらえるんです」

マイケルさんは、顧客のリクエストを聞き、どのボタニカル(植物素材)を組み合わせればその味が出せるのかがパッとわかるそうだ。なぜわかるのか……。疑問を口にすると、マイケルさんは「天才だから?」と茶目っ気たっぷりに言いつつ、背後から小瓶を取り出した。よく見ると、そこには同じサイズの瓶が数十本並んでいる。

「これはボタニカル単体を、スピリッツで蒸溜したもの。素材そのものの味はわかるけれど、蒸溜してみたら味が全然違う。これは全部、自分の勉強。素材の味は好きでも、蒸溜したらあまり好きじゃないこともある」

ボブさんが補足する。

「化学的にいうと、人が何かを食べる時、味わいのもとになるのは水に溶ける成分なんです。ただ、エタノールに溶ける成分と、水に溶ける成分はまた違います。アルコールで蒸溜しておいしいものもあれば、おいしくないものも出てくるんです」

瓶の中身はさまざまだ。ブルーベリーやスイカなどの果物のほか、わさびや鰹節に椎茸、ピンクペッパーや松の葉など味が想像できないものもある。なかでも、一番おいしくなかったものは「切り干し大根」だそう。

マイケルさんの妻で、事務を担う明子さんは、「調理する前の切り干し大根の匂いそのものでした」と苦笑いする。

ほかにもマイケルさんは、気になるものをスーパーで見つけて買ってきては小さな蒸溜器を使い、試し続けている。

「3日でプロトタイプ」の裏にあるのは、ボタニカルを一つずつ蒸溜して確かめる、この地道な蓄積だ。その探求心が、レシピ作りを支えている。

プロトタイプやボタニカル単体を蒸溜するための小さな蒸溜器(写真:筆者撮影)
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