壁には「当店の旬果実」と書かれた黒板があった。シャインマスカット、ナガノパープル、クイーンルージュ……いずれも、国内有数の産地として知られる長野県産だ。
生産者名を記載するのは、なにも珍しい手法ではない。それでも、店舗側の伝えたい想いを感じられる仕掛けではある。
内装にも細かいこだわり
メニューもさることながら、内装についても、細部にまでこだわりが感じられた。
天井は高く、窓の外には植栽が見える。窓際で外を向く席に座ると、ほかの客が視界に入りにくい。全席禁煙だが、トイレの手前に灰皿2つの喫煙ブースがある。1時間半近く滞在する客がいる店に、喫煙者の居場所が用意されているのだ。
外食では、料理の味や価格だけでなく、店でどう過ごせるかも店選びを左右する。ところが、実際に店舗を訪れると、テーブルが小さかったり、椅子に背もたれがなかったり、隣席との間隔が狭かったりと、長く過ごすには落ち着かない店もある。
その点、果実屋珈琲は、居心地の良さが印象に残った。同行した筆者の父の言葉を借りたい。感想を尋ねると、「モーニングにしては高い。ランチの値段だ」「量も、あくまでモーニングの量」と率直な答えが返ってきた。それでも、また行きたいかと聞くと、「行きたい」という。理由は、「席の座り心地、店の居心地、そして屋内に喫煙ブースがあること」だった。


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