ーー第3話「貝塚京子」は衝撃でした。被介護者の遺産の受取人を自身にして、親族に知らせず遺言状を書かせるような介護者が実際にいるんですね。
被介護者が亡くなったあと、遺産相続の際に、親族の誰も知らない人が受取人になる手書きの遺言状の存在が明らかになり、問題が発覚しました。調べていくと、その人は身元保証会社が契約しているヘルパーであり、遺言状を書くことが契約の条件になっていたんです。
親族はこの件を警察に相談していますが、運営会社に電話を1本入れたくらいで首を突っ込みたくない様子でした。このエピソードはすべて実際にあった出来事をもとにしています。
恐らく世間に知られていないだけで、頻繁に起きているトラブルだと思います。とくに身元保証会社と被介護家族のトラブルは国民生活センターにもけっこう寄せられていて、制度をきちんと変えていかないといけないという方向に進んでいます。
その流れを受けて、つい最近ようやく業界団体が立ち上がりました。裏を返せば、これまでちゃんとしていなかったところがたくさんあったということです。
ーーそういうヘルパーに取り込まれないために、被介護家族が事前にしておくとよいことはありますか。
難しいですね。もし自分がこのご老人と同じ立場で、ヘルパーから「みんな優しくてあなたの味方です、心配は要りません」と説得され、遺言状が契約に必須であれば書いているかもしれません。
本書では、介護現場の裏側でうごめく悪人たちを描いていますが、情報として知っておくことはひとつの備えになるでしょう。そういうケースがあることを知らなければ、自身が利用されようとしているのをわかりようもないですから。
介護は決して他人事ではありません。今は直接関係がなくても、ふだんから介護周りのさまざまな情報収集を行っておくことをお勧めします。
糞尿の臭いは介護施設を探す際に気をつけるべきポイント
ーーこういった事例が起きないようにしていくのが、業界団体や行政の役割になるんですね。
ただ、介護にまつわる業界団体は、前述の団体のほかにも、紹介事業者の団体などいくつも新しく立ち上がっているんです。それらすべてが業界を良くするために活動していくと信じたいのですが、まだ検証はされていません。
個人的には一部に対して疑いの目を向けています。実は、すでに告発が来ている団体もあります。これらの業界団体が本当に機能していくかは、これから見定める必要があります。
ーー被介護者の施設入所を考えたときに、気をつけるべきポイントを教えてください。
施設を地道に調べていくのがいちばん確実です。
ひとつ助言するとすれば、ご本人ないし家族が必ず事前に施設見学をしてください。その際、施設側はいい状態の時間帯に特定の場所しか見せてくれないことが多い。でも、食事の様子を見せてほしいなど具体的な要望を出していろいろな場面を見ておくといいでしょう。
建物に入ると、糞尿の臭いがする施設ってけっこうあるんです。そういうところは要注意です。


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