筆者自身、中国の大学院に留学し、その後、中国の大学で教員として働いた。中国企業や産業について発信しているため、「親中なのか」と非難めいた調子で聞かれることもある。
筆者の答えはいつも同じだ。
自分の真ん中は日本にある。しかし、その隣には急速に台頭してきた中国がある。日本の競争力や産業の未来を考えるためには、中国が何をでき、何ができないのかを過大評価も過小評価もせず、中国に対する解像度を上げることも必要だと考えている。
言うまでもなく、多くの日本企業も「親中か反中か」「中国かアメリカか」という二択ではなく、政治・安全保障上のリスクを見ながら、中国の市場、生産力、技術力、競争力をどう取り込むのか模索を続けている。サプライチェーンが国境を越えてつながる現在、「嫌なら付き合わなければいい」というほど単純な話でもない。
産業界のマジョリティは佐々木氏のプロフィールに「清華大学」と書いてあっても、その事実だけをもってネガティブに捉えることはなかっただろう。
だからこそ、佐々木氏がSNS上の「清華大=習近平=中国共産党」という政治化に対して、そのフレームに乗って雑な釈明をしてしまったことは惜しい。
編集されすぎたPR戦略
佐々木氏の公式サイトは、かなり作り込まれている。
29歳という若さに対しては、「16年前、福岡市民は36歳の若い市長に未来を託しました」と高島宗一郎市長の初当選を重ねる。高島氏の2022年市長選で「がんばろう三唱」を担当したこと、さらには結婚式で高島氏から祝辞を受けたことまで紹介し、高島市政との近さをこれでもかとばかりに打ち出している。職歴ではBCG、中央官庁、Schwarzman Scholars、孫正義氏、Davosなどを高い密度で配置する。
政治活動や行政運営の経験の少ない候補者が、自らの強みをわかりやすく伝えようとする戦略は理解できる。
ただ、PRは情報を足せば足すほど強くなるわけではない。


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