前述したとおり、清華大学はTHEの世界大学ランキングで12位。佐々木氏の母校である九州大学は同じランキングで301~350位。これだけキラキラな経歴を並べるプロフィールなら、「清華大学」も十分に強い固有名詞のはずだ。
それなのに、そこだけが「海外の大学院」になった。しかも、公式サイトで「海外の大学院」としたところで、新聞の候補者名鑑では最終学歴の記載ルールに従って「清華大学大学院修了」と記される可能性が高い。
情報の受け手は「なぜ、そこだけ書かなかったのか」と考え始める。そこへ「習近平」という、SNS上で極めて拡散しやすい固有名詞と結びつける投稿が投下された。
なお、佐々木氏は9月23日に公開したnoteで「大学院は清華大学シュワルツマンスカラーズ」と明記した。しかし、翌24日時点でも選挙用公式サイトは「海外の大学院」という表記のままだ。
SNSの土俵に自ら上がる形に
疑念が拡散する起爆装置になったのが、佐々木氏の出馬会見での説明だった。
海外での学歴をめぐるネット上の指摘について問われた佐々木氏は、清華大学という固有名詞を出しつつも、「中国の大学院に入ったというよりは、アメリカと中国が協力してつくった大学院という形だった」「ニューヨークで面接を受けた」「アメリカの方の奨学金を受けて」 と畳みかけた。
確かにシュワルツマンスカラーズは、米投資会社ブラックストーン共同創業者のスティーブン・シュワルツマン氏が設立を主導した、1年間の英語で受講する国際的な修士プログラムである。
しかし、公式サイトは同プログラムを「清華大学で実施される、全額給付の1年間の修士・リーダーシッププログラム」と明記している。修了時に授与される修士号も清華大学によるものだ。したがって、「中国の大学院に入ったというより」という説明は、客観的事実として正確ではない。
また、「アメリカの方の奨学金を受けて」という説明も、かなり雑である。
シュワルツマンスカラーズは世界各国の寄付によって支えられており、公式の寄付者一覧にはテンセント(騰訊)やJD.com(京東集団)など中国企業・団体も名を連ねる。
さらに、佐々木氏自身が公式プロフィールで掲げる「Masason Scholar」は、孫正義氏の支援により日本人学生向けに設けられた奨学枠だ。少なくとも、本人が受けた奨学枠を単純に「アメリカの方の奨学金」と説明するのは、実態を正確に伝えているとは言えない。
公開情報を確認すればわかる話である。
なぜ、「アメリカ」「ニューヨーク」を前に押し出そうとするのか。


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