生野本店には休憩所がある。本格的な囲炉裏やかまどが設けられてあり、古きよき日本家屋でよく手入れされた庭を見ながらゆったりとした時間を過ごすことができる。お茶とコーヒーが無料でふるまわれ、商品を4000円以上購入するとぜんざい1杯のサービスがある。
しかし、この日は国道まで自動車が行列をなしていたこともあり、急きょ休憩所は閉鎖されることになった。「お茶もコーヒーもたくさん準備しているんですけどね、ごめんなさいね。またゆっくり来てください」と、女性スタッフの方が戸惑いながら案内していた。
カレー揚げせん「華麗満月」は、筆者の娘(小学3年生)が珍しく買ってすぐに食べた。普段であれば「辛い」というが、一気に2枚を食べるほどだった。正直驚いた。カレー味のお菓子をここまでパクパク食べるのは初めてだからだ。
ネットで「本当においしい」と絶賛されている理由を、改めて体感した。
おかき作りへのまっすぐな情熱
公式サイトの主張や街宣活動で知られ、一見“怪しい”とも捉えられがちな同店だが、おかきのクオリティは一貫している。むしろ、実際におかきを食べてみると、その高いクオリティに驚き、サイトの印象とのギャップに驚き、戸惑い、心をつかまれる人も多いのかもしれない。
公式サイトの商品紹介を一つひとつ読んでみると、社長の品質追求に対する向上心と、研究熱心さがうかがえる。おかきは国産うるち米100%と米サラダ油を使用し、化学調味料をなるべく使わないスタンスを貫く。といっても、味付けのセンスが「意識が高くなりすぎる」ということはなく、大衆的な愛される味になっており、そのさじ加減が絶妙だ。
廃業は、2027年3月末日とのこと。
兵庫で地元ブランドとして確立したのは、まぎれもなく社長のおかきへの情熱と経営手腕があってこそ。実店舗のたたずまいから、日本の伝統美を愛していることも伝わってくる。なにより筆者がいちばん印象に残ったのは、社長のまっすぐな文章だ。
「はりま焼」の味付けは、先代のレシピを引き継いでいるという。事業承継を願うのは消費者の勝手な思いかもしれない。行く末がどうなるのかは誰にもわからないが、残り6カ月とわかっている限りある時間を地元民として見守りたい。


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