ドライブモードをGTからSport、さらにSport+へ切り替えると、700PSという数字が体の中へ入ってくる。DB12 S Volante の0-100km/h加速は3.6秒(DB12 S クーペは3.5秒)、最高速度は公表325km/hだ。だが、箱根で私が欲しかったのは最高速への加速ではない。
「次のコーナーに、どれだけ自然に入っていけるか」という減速方向での性能だった。
そこにDB12 S Volanteの真価があった。
その走りを支えるもうひとつの大きな進化がブレーキだ。DB12 S Volanteは、コーナーリングブレーキコントロールの採用とセラミックカーボンブレーキが標準となる。セラミックカーボンディスクという言葉から、私はもっと極端なキャラクターを想像していた。しかし実際には、極低速域や冷えた状態からでもドライバビリティが非常に優れている。
踏み始めから必要以上の神経質さはない。これは長距離を走るGTとして、とても重要な美点と言えるだろう。サーキットや特別な環境下だけで速いのではなく、市街地からワインディングまで、ブレーキを「普通の感覚」で扱える。
速さを支える装備が、日常の親和性まで高めているのだ。
Volanteの魅力でもあるオープンエアの爽快感
そして箱根で、もうひとつ試してみた。
ルーフを開ける。K-fold systemが動き始める。開くまで14秒。その動作の精度も良い仕上がりだ。オープンにした瞬間、景色だけではなく、エンジンの音まで近くなる。
しかし、巻き込む風は荒々しくない。フロントウインドウの傾斜角や周辺の仕上がりが非常に良く、わずかな巻き込みは感じるものの、隣に座るパートナーとの会話を諦めるようなものではない。これなら、パートナーを怒らせる心配もないだろう。


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