北海道本島の最北端、宗谷岬が有名な稚内市に本店を構える稚内信用金庫。理事長を20年以上務める増田雅俊氏のもと、同金庫は自己資本比率64.43%を誇る国内屈指の健全な金融機関として名を馳せてきた。
ところが、2026年9月30日。同金庫は信金中央金庫(信金中金)の「信用金庫経営力強化制度」を活用し、200億円の資本支援を受け入れるとともに、同日付で増田氏は理事長を退任となる。
自己資本比率が64%超の優良信金なのに、なぜ200億円もの資本支援を受け入れ、実力理事長の退任にまで至ったのだろうか。その答えは「国債の含み損」だ。金利上昇によって国債など保有有価証券の含み損が拡大。その金額は同金庫の自己資本をも上回り、金融庁が経営改善などを命じる「早期是正措置」の基準に抵触したことが引き金となった。
「安全資産」のはずが、業界の深刻な問題に
具体的には、同金庫の26年3月期の自己資本は534億円。これに対し、満期保有目的とその他有価証券を合わせた国債の含み損は861億円、有価証券全体では835億円の含み損となり、自己資本の総額を大幅に上回った。さらに、国債残高2458億円のうち、残存期間10年超の国債が全体の88%を占めている。
こうした状況は稚内信金にとどまらない。25年9月には、栃木信用金庫(栃木県)がやはり保有国債の含み損拡大を背景に、信金中金から40億円の資本支援を受けている。金利上昇が進む中、多くの信金において国債の含み損が深刻な経営問題に発展している。
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