体調が悪くて病院に行くと、当たり前のようにレントゲンやCT、MRIを撮られますね。ですが、あの機械でどうやって自分の体の中の何を見ているか、気になりませんか?
体を切り開かずとも、医師は骨折の有無や腫瘍の位置を正確に検査できていますね。レントゲンやMRIは、私たちの体の内側を、まるで透明であるかのように見通しているのです。
その仕組みを一つひとつ遡っていくと、行き着く先は病院ではありません。19世紀末、ドイツの物理学研究室でX線という未知の光を発見した実験。1930年代、宇宙から降り注ぐ粒子の正体を追いかけていた素粒子物理学の実験。1940年代、原子核が持つ小さな磁石の強さを測ろうとしていた実験。それらの技術が今の医療を支えています。
最初のノーベル物理学賞
1901年、記念すべき第1回ノーベル物理学賞は、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲンに贈られました。受賞理由は「X線の発見」です。
私たちの身の回りにはたくさんの電磁波が溢れています。例えば、皮膚がんの原因になる紫外線や、電子レンジで使われているマイクロ波や、私たちが見ている光(可視光)は全て電磁波です。そして、X線もまた電磁波の一種です。電磁波という大きい枠組みの中に、X線・紫外線・赤外線・可視光線が分類分けされていると思ってください。
X線は「人間の目で見ることができない代わりに、物を透過する」という性質を持っています。可視光は皮膚の表面で吸収・散乱されるため、身体の向こう側を見ることはできません。しかし一方で、X線は人体をある程度通り抜けることができるのです。


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