筆者は21年当時、大学生だったのだが、同じような理由で友人との約束や予定がキャンセルになったことが何度もあったことを思い出した。
今ではすっかり無くなったが、当時は知人にとどまらず、「知人の知人が体調不良になったから」という理由で大事をとって何かを諦めざるをえなかった、というやるせなさを一瞬にして思い出した。
コロナ禍における日常描写も具体的に描かれている『サ道』は、単なる娯楽ドラマではなく、ある種の「文化保存ドラマ」でもあることを改めて実感した。
それでも癒やしドラマとして『サ道』を楽しめるワケ
ここまで見てきたとおり、『サ道』が描いているのは、サウナの魅力だけではない。本作が描くのは、サウナに逃げ込みたくなるような人生と社会の「苦しみ」であり、そこから立ち直ることは可能なのだという「希望」なのだ。
「居場所がない」「仕事がうまくいかない」「社会情勢に振り回される」描写を見ていると、気が重くなることもあるかもしれない。
でも、現実に起こるこれらの出来事を、『サ道』はなかったことにはしない。現実をしっかりと描いたうえで、サウナでととのい、仲間たちと語らい、回復し、日常に戻っていくという「救い」が、確かに描かれている。
サウナで「ととのう」ことを描いたドラマは、同時に、ととのわない日々を生きてきた私たちの記録でもあるのだ。
新作『サ道2026~人生をサボりながら、ととのう~』では、どのような人生や社会を映し出すのだろうか。コロナ禍が一段落した一方で、生成AIの台頭やインフレ、金利高など、環境の変化はますます激しくなっている。
そんななかで、サウナという小さな避難所から描かれる本作では、どんなふうに「今の日本」を描いてくれるのか、要注目だ。


※ログイン後、コメント入力が可能です。