唐澤氏は「OEM(各メーカー)からの要求に今まで通り『すり合わせ』で対応していくだけでは(事業は)縮小するのみだ」と強い危機感を示す。「ミクニなら、なんとかしてくれる」という旧来型のすり合わせだけでは、ミクニは生き残れないという、強い危機感だ。
では、どうやって技術戦略を変革するのか。それを「上流から下流まで徹底的に開発を効率化し、先回りして価値を提案し続けること」と定義した。
具体的には、3つの変革を融合させる。
1つ目は、MBSE(モデル ベースド システム エンジニアリング)の徹底導入だ。
デジタルモデルで事前の検証を行う。また、部門横断の全体最適で効率よく先行開発を行う。ただし、これは自動車産業ではすでに一般的な手法であり、これだけではミクニにとっての真の変革とは言えない。
ミクニの強みは、これまで開発・生産してきた多様な製品の要素技術を踏まえて、一括して新たな要素技術を開発し、その組み合わせで製品を創出することだ。
キャブで培った技術を使って
ミクニの要素技術は、やはりキャブレターに起因する。
具体的には、空気・燃料・オイルを上手く使う「流体圧力制御」、空気と燃料を混合する空燃比制御である「適合技術」、そして噴霧流量をコントロールする「燃料気化技術」という、3つの要素技術だ。
興味深いのは、ミクニ100年の歴史を製品群でまとめた系統図を見ると、これら3つの要素技術から段階的に枝分かれしていること。つまり、この3つの要素技術は、ミクニにとって「手の内化(てのうちか)」されていると言える。
これを基に、ミクニが未来の事業として大きな期待を寄せているのが、熱エネルギーを自由自在にコントロールする技術だ。
BEV向け車載電池の温度管理などモビリティ領域では今後、熱エネルギー制御がEV技術進化のカギとなる。


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