大人の女子寮発起人の槙本千里さん(57)は、バブル期に派遣社員を始め、副業を含めて30社以上を経験した。2010年、40歳の時にワーク・ライフ・バランスコンサルタントとして起業し、全国各地で講演や企業の業務改善支援を行っている。
45歳で離婚、資産はあったのに部屋を借りられなかった
夫の転勤で東京へ移り住んだが、45歳で離婚。大阪に戻ってきた際に、財産分与で十分な資産がありながら「単身、フリーランス」を理由に部屋を借りることができなかった。結局、不動産会社の提案で、保証人に立てようと考えていた妹の名義で契約し、父が保証人になった。
「でも、これ5年後には通用せえへんなと思って。父親も生きてるかわからんし、父の年金も年々下がってるしね。おひとりさまでもシングルマザーでも家を借りられへんことがあるから、そういう人を受け入れる集合住宅があったらいいのに、と思いました」
槙本さんの頭のなかにあったのは、2003年に放送されたテレビドラマ『すいか』だった。20~60代の女性たちが助け合いながら生活する姿を見て、「将来はこれがいいな」という思いがずっと残っていた。
もうひとつ頭に浮かんだのは、淡路島でひとり暮らしをしていた大おばの姿。庭いじりが大好きで、99歳で亡くなるまで一軒家で暮らした。彼女のように「老後に好きなことをのびのびとできる環境を叶えたい」という思いがあった。
槙本さんは2015年頃から単身女性の集合住宅構想を周りの友人に話し、発行していたメルマガにも書いていたという。
しかし、構想や思いはあっても、数年間は具体的な物事は進まなかった。当初は、自分で法人化し、事業計画書を書いて、銀行から融資を受けて建てるしかないと思っていた。
転機が訪れたのは2022年、まちづくりの専門家による半年間のゼミに参加した時だ。講師に相談すると、「まきもっちゃん(槙本さん)は入居したいという人たちのコミュニティをつくればいい。不動産屋は入居したい人が行列してることが一番うれしいから」とアドバイスを受けて、お茶会を開催し始めた。


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