これまでは、リアルで知った文化を、家でも楽しむ補足的な役割が「配信」だった。いわば「文化体験の順序の逆転」が起きているのだ。
音楽フェスでは、目当てのアーティストが出演するまで前方で棒立ちする「地蔵」行為や、隣の客の大声での熱唱をめぐる論争が繰り返されている。競馬場や牧場でも「一口馬主」によるマナー違反がSNSで大問題に発展した。
配信でフェスの興奮を初めて知った人々が、フィジカルなフェスも体験しようと会場に押し寄せているのだろう。「ウマ娘 プリティーダービー」などで競馬に興味を持った人々が、リアルの推し活を求めて一口馬主クラブに入り、牧場や競馬場に押しかけ、従来のファン層との間で“常識”をめぐる争いが起きているようだ。
映画以外のジャンルでも、映画館と似た形での衝突が同時多発している。「客が増えたから」では説明がつかない。増えた客の「質」が変わっているのだ。
こうした人々の愛情は本物だし、本人に部外者の意識はない。配信やゲームで慣れ親しんだ文化を、昔ながらのファン同様に愛しているが、リアルの場での振る舞い方は知らないのだ。
誰が悪いとは言いがたいが、興行側の宿題かもしれない。新しい客が従うべき作法を、どう伝えるのかが問われる。禁止事項を並べるだけではなく、それぞれの文化をどう楽しんできたかを先に伝える工夫が必要だ。
それでも、1人の観客として
いろいろと分析してきたが、最後に1人の昔ながらの映画ファンとして言っておきたい。
エンドロールに流れているのは、貴重な情報だ。出演者だけでなく、どんなスタッフが関わっているのか、どこで撮影されたのかなどがわかる。途中で流れた曲や映画の名前も確認したい。日本映画では製作委員会の座組もわかり、私にとっては仕事に役立つ。
だからみなさん、劇場でアナウンスされるマナーは最低限守ってほしいし、エンドロールも映画の一部と考えている人がいることをわかってもらいたい。


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