高金氏は、日本が過去の植民地統治や戦争の歴史を十分に検証し、アジア諸国の関係者に対して誠実に向き合うことが、地域の平和につながるとの考えを繰り返し主張してきた。
こうした歴史認識をめぐる主張は、中国側の対日歴史認識と重なる部分もあることから、中国メディアなどで取り上げられる機会も少なくなかった。
また、09年の訪日後には、中国から先住民族支援を名目とした資金提供を受けたことが台湾で大きな議論となり、中国との距離感をめぐって賛否が分かれる一因となった。
台湾の先住民族は、本来、国民党のような戦後に台湾へ移ってきた政権勢力や中国大陸との歴史的・文化的な結び付きは比較的薄いとされている。
中国側と積極的な交流、汚職事件から安保事案に発展?
その一方で、高金氏が中国側との交流を深めるようになった背景には、自身のアイデンティティーや、日本統治時代の歴史問題をめぐる活動が影響したと考えられている。
高金氏の母親は台湾先住民族のタイヤル族、父親は中国安徽省出身の外省人である。そのため、中国大陸との人的・文化的な接点を持つ家庭環境で育ったことが、その後の活動にも一定の影響を与えた可能性がある。
中国政府も抗日戦争や日本の植民地統治を重視する歴史認識を対外発信していることから、高金氏の主張は中国側の歴史認識と重なる部分があり、中国の国務院台湾事務弁公室などとの交流も深まっていった。
08年の北京オリンピック開会式では、高金氏が率いる台湾先住民族のパフォーマンスチームが出演し、北京を訪問したことでも注目を集めた。
中国側は高金氏を、台湾先住民族を代表する政治家の一人として位置付け、両岸交流の場へ招く機会も多かった。一方、高金氏は、台湾の先住民族も中華民族の一員であるとの考えを繰り返し表明してきた。
これに対し民進党や台湾独立派は、台湾の先住民族は中国とは異なる歴史や文化的背景を持つとして、高金氏の主張を強く批判している。このため、高金氏を巡る歴史認識やアイデンティティーをめぐる議論は、台湾社会でも長年続いてきたのだった。
このように、高金氏は単なる1人の立法委員にとどまらず、中国と台湾の関係を巡る議論の中で象徴的な存在となってきた。そのため、今回の起訴についても、一部の台湾メディアや安全保障分野の研究者からは、中国と台湾の交流や対台湾政策に一定の影響を及ぼす可能性があるとの見方が示されている。


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