有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ

「人を食べそう」評が一夜にして「かわいい」に変化…Suica新キャラ投票に見る「不気味キャラ」が"結局人気を得る"背景

6分で読める
JR東日本・東京駅
Suicaの新しいキャラクターを選ぶ人気投票が注目を集めている(写真:Ryuji/PIXTA)
  • 徳重 龍徳 コラムニスト、エンタメ評論家
2/3 PAGES
3/3 PAGES

どれもネガティブな反応からスタートしたというのも共通だ。特に現在のXではネガティブな情報のほうが拡散されやすく、認知という点では一気にブーストがかかる。そこにファンアートが増加し、ネタとして楽しまれることで「愛嬌のあるキャラ」へと評価を変えていく。

生成AIの普及がB案人気に影響?

そして今回のSuica新キャラクター騒動には、ミャクミャクやせんとくんの時代とは決定的に異なる点がある。生成AIの存在だ。

これまでファンアートを作れるのは、基本的に絵を描ける人や3DCGなどの技術を持つなど一部の技能を持つ人だった。しかし生成AIでは元になる画像と簡単な指示があれば、一般のユーザーでも手軽に頭で想像したようなイラストや動画を作ることができる。もちろん思い通りの映像を作るには工夫がいるが、それでもファンアートに参加するためのハードルが大きく下がったことは間違いない。

さらに生成AIの登場によって変わったのはファンアートの量だけではない。スピード感も大きく変わる。以前なら一枚のイラストが話題になり、それに触発された別の人間が描き、という流れで少しずつ拡散されていった。

しかし生成AIの登場によりSNSにおいてインパクトの大きい動画が、以前よりも格段に早く作られるようになった。Suicaのケースでは今回は発表から数時間で、B案が働き、歩き、踊る姿まで作られ、それにともないB案の紫のうさぎへの評価が一変していった。

もちろん生成AIを使ったファンアートには、既存キャラクターの権利処理や生成物の類似性など、著作権をめぐる論点も残る。また生成AIそのものに反発するユーザーも少なくない。それでも、生成AIによるファンアートの流れは止まらないだろう。

「ミャクミャク」の生みの親で絵本作家の山下浩平氏は、自身が生み出したキャラクターについて「みんなが遊べる余白を残したくて、不思議な生き物にしました」と語っている。これからのキャラクターに求められるのは、完成された100点のかわいさではなく、ユーザーが勝手に遊び、物語を付け加えられる「余白」なのかもしれない。

そして生成AIによって、その遊びに参加できる人は一気に増えた。SuicaのB案をめぐる騒動は、キャラクタービジネスのルールが変わり始めたことを象徴している。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数