その考え方は、現在進めている子どもの権利条例の制定にもつながる。葉山町では、木村泰子氏をアドバイザーに迎え、子どもの権利を学校教育だけでなく、町づくりの「ど真ん中」に据えることを目指している。
「子どもの権利条例をつくる方針は、町長にも伝えています。ただ、私が言い出したからといって、トップダウンで進めようとは思っていません。校長会議などを通じ、校長先生や教員たちと一緒に、少しずつ現場に届けていきたい。そして、子どもたちが直接関わり、自分たちの条例をつくっていくことが大事だと思っています。急ぐ必要はない。ゆっくり熟成させていけばいいと思っています」
そのための土台も、すでにある。全6校にコミュニティスクール(学校運営協議会制度)を導入し、地域と学校をつなぐコーディネーターも配置。NPOやボランティアによる居場所カフェなど、学校外の人や場ともつながっている。さらに25年度からは、施設分離型の小中一貫教育もスタートした。
「小学校と中学校を別々に考えるのではなく、9年間を見通して子どもの学びと育ちを支える取り組みです。町民の方々と教育について語る『教育長と話そう会』も始めました」
子どもをどう育てるか=どんな町をつくっていくのか
背景には、人口減少という現実もある。葉山町の人口はピーク時の3万5000人から3万2000人を切るまで減り、昨年の出生数は106人。6年後には、各学校が1学年1クラスになる可能性もある。
子どもの数が減るからこそ、学校だけでなく地域全体で子どもを支える仕組みが必要になる。子どもが自ら学び、考え、行動できるために、学校や教育委員会、地域の仕組みそのものをどう変えていくか。
その問いを、町全体で考える。「不登校を減らす」のではなく、どこにもつながっていない子どもをゼロにする。子どもを1つのものさしで測るのではなく、一人ひとりに合う学びとつながりを保障していく。子どもをどう育てるかを考えることは、どんな町をつくっていくのかを考えることでもある。葉山町の取り組みは、教育を起点に町の未来を考える1つの姿を示している。


※ログイン後、コメント入力が可能です。