新刊『世界のビジネスエリートを惹きつける 教養としての盆栽』を上梓した依田徹氏が、盆栽がどれだけ繊細に管理されているのか、その知られざる苦労について解説します。
ボクサーやバレリーナに通じる美学
盆栽の大きな特徴は、小さなまま維持されているという点です。庭木などと違い、10年育てても小さなままですね。
なぜこのようなことが可能なのかというと、鉢で根の成長を抑えているからです。
樹木というのは、根と枝葉にバランス関係があります。樹木は根を土に張り巡らせ、土から水と養分を吸い上げることで、幹や枝葉を成長させるのです。大きな樹は、同じくらい大きな根を持っています。
このため逆に鉢によって根の広がりを制限してしまえば、幹も小さなままで維持できるのです。
そして定期的に樹から鉢をはずし、根の手入れをしてやります。というのも鉢の中で小さな根が密集してしまうと、水の吸い上げが悪くなるからです。
このため古い根を整理するように一部切りとるのですが、その結果として根がふたたび成長をはじめます。これを内臓の再生にたとえる盆栽師もいます。
盆栽に限らず鉢植えでも行う作業ですが、このように根を再生させることで、むしろ通常の樹木よりも長く健康状態を維持できるのです。
さいたま市大宮盆栽美術館に勤めていた頃、何度か雑誌取材などを受けたのですが、その際に私はよく盆栽をボクサーやバレリーナにたとえていました。
栄養などを制限してシャープなボディーを維持するアスリートのような樹木、それが盆栽なのです。


