では、どうすればよいか。宿泊についてはすでに取り組みが始まっている。それ以外に必要なのは観光客を奈良公園以外にも向かわせることだ。
県や自治体だけでなく、民間も取り組んでおり、鉄道業界では近鉄が「青の交響曲」「あをによし」などの観光列車を運行し、県内の各地に観光客を運んでいる。
JR西日本は県と連携して、鉄道によって県内の周遊滞在を促すプロモーション施策「ならSLOW&LOOP」プロジェクトを2024年に始動した。万葉まほろば線(奈良―高田間)、和歌山線(高田―王寺間)、大和路線(王寺―奈良間)が環状構造であることに着目し、鉄道に乗って沿線各地の見所を訪れようというものだ。
「周遊観光」広げられるか
今年2月には観光列車のようなデザインの特急「まほろば」でSLOW&LOOPのルートを運行するツアーが催された。1回限りの取り組みだが、まほろばが恒常的にこのルートを運行するようになれば、周遊滞在への大きな後押しとなるだろう。
奈良県内に鉄道ネットワークを持たないJR東海は観光プランを提供する形で奈良観光を後押しする。2024年には県と観光振興に係る連携協定を締結した。宿泊客の増加と奈良公園周辺以外のエリアへの周遊促進に向け、両者が協力して取り組むという内容だ。「EX旅先予約」では「話題のスポットやイベントを狙い、”売れる”商品に注力して販売している」という。
JR東海が進めるリニア中央新幹線は名古屋と大阪を結ぶルートは奈良市付近を通ることが想定されており、新駅の設置場所として奈良市、生駒市、大和郡山市が誘致に名乗りを挙げている。新駅がどこに決まるにしても、奈良県内にリニアの駅ができれば、それも奈良観光の起爆剤となるはずだ。

