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なぜ『豊臣兄弟!』は郷土の英雄を「裏切り者」にした? 自治体も黙っていられなかった"創作"の履き違え

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中川清秀 豊臣兄弟
史跡賤ヶ岳の碑(写真:Hyper9/PIXTA)
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戦国時代における「寝返り」は決して珍しい行為ではないとはいえ、現代のドラマにおいて「味方を裏切った」という設定は、人物の人格を判断するうえで強い意味を持つ。まして、その結果として討ち取られる展開にすれば、「欲に目がくらんで裏切り、その報いを受けた人物」というふうに見られてしまうことになる。

今回の批判の核心はここにある。ドラマにおける史実改変が問題になるのは、単に史実と違うという理由だけではない。「なぜ、そこを変える必要があったのか?」という物語上の必然性が問われているのだ。史実を変えることで劇的に面白くなる、人物の葛藤が鮮明になる、作品全体を貫くテーマが浮き彫りになる、といった事情が存在するのであれば、視聴者もある程度は創作として受け入れるかもしれない。

しかし、実在人物の経歴を大幅に変え、それによって人物の評価を下げたにもかかわらず、その改変に十分な必然性が感じられなければ、「なぜわざわざ実在した中川清秀を使ったのか」という疑問が生じる。

子どもたちがうのみにする懸念

さらに言えば、大河ドラマは普通の時代劇とは違う。毎週日曜の夜にNHKで放送され、1年間にわたって1つの時代や人物を描く大河ドラマは、格別に影響力の大きいものであり、半世紀以上にわたって「視聴者がテレビを通じて歴史を学ぶ入口」としても機能してきた。

もちろん視聴者の多くは、それが歴史の教科書ではなくドラマであることを理解している。それでも、ドラマで初めて名前を知ったような脇役について、わざわざ史料を調べて史実との違いを確認する人は少ない。

視聴者の頭の中には、俳優の顔や劇中での行動とともに、その人物のイメージが残る。茨木市長が「子どもたちは大河ドラマをきっかけに歴史を学び、そこで得た知識をそのままうのみにするかもしれない」と懸念したのも、その影響力を踏まえてのことである。

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