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「職人のパン」を数値化し「誰が作っても同じ味」を実現…それでも大手スーパーが拡大路線をやめ《熱海周辺5軒》に絞った理由

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蒸しパン
できたてほやほやの蒸しパン。冷ましてからパッケージされる(写真:筆者撮影)
  • 谷口 素子 取材ライター・コラムニスト
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と、ここまで、工程を簡単に説明したが、写真を見て分かるように、蒸しパン作りはほぼ手作業で行われている。小さなパン屋でひとりの職人が作るのであれば、同じ人が、同じ工程を繰り返すことで、品質を保つことができる。しかし、ここは大手スーパーの作業場だ。多くの従業員が蒸しパン作りに携わる。

同じ味、同じ食感を、誰が作っても再現するためには、ほていやの製法をそのまま受け継ぐだけでは足りない。そこでマックスバリュ東海は、スーパーならではの仕組みを加えていった。

職人の「感覚」だったものを、できるだけ数字に置き換えて

とはいえ、基本的な作り方は、ほていやから変えていない。そのうえで、誰が休んでも、誰がつくっても同じクオリティの商品を提供できるように仕組み化したのだ。技術を受け継ぐため、ほていやで修業したベーカリー部の増井博行さんたちが得た情報をもとにマニュアルを作り、作業員全員で共有している。

蒸しあがったあとは、冷ましてからパッケージへ(写真:筆者撮影)

たとえば、1個のポーションは68〜74グラム、生地の厚さは4ミリ、蒸す時間は12分。職人の「感覚」だったものを、できるだけ数字に置き換えている。これを基準に作業することで、誰が担当しても一定の品質を保てるようにした。

加えて、蒸しパンに使われる「あんこ」にも変化がある。ほていやでは自家製のあんこを使っていたが、マックスバリュ東海では地元の業者に発注している。1個160円で販売する蒸しパンのコストを考えると、あんこを店内で手作りすると採算が合わない。

「ほていやの味」を残しながら、スーパーとして成立させるための取捨選択が行われているのだ。さらに、スーパーならではの工夫がもう1つある。

せいろの横をよく見ると、2センチほどの金属製のプレートが付いている。そこには「ショコラ」「メープル」など、味の名前が書かれている。

現在、作業場の責任者として蒸しパン作りを担当する鈴木雄大さんにその用途を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「対面販売のほていやさんでは、販売するときに蒸しパンの味を確認できます。でもスーパーでは、お客さん自身が商品を手に取ってカゴに入れます。万が一、貼ってあるシールと実物の味が違ったら、食品事故につながります。だからスーパーでは、このプレートが大切なんです」

味の名前が書いてあるプレートを付ける、スーパーならではの工夫(写真:筆者撮影)
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