同族企業の場合、所有者が企業に対して残余請求権を持っており、企業を長期にわたって一族の手に残したいと考えるため、企業の寿命を延ばす意思決定のほうが、長寿を犠牲にしてでも短期的な利益を増やすような意思決定よりも優先される傾向にある。
対して、公開企業の経営陣は、たとえ企業の寿命が短くなるという犠牲を伴うとしても、投資家のために株価を上げ、株式報酬を現金化するほうを重視するかもしれない。
日本は長寿企業の研究にうってつけの舞台だ。創業100年を超える企業が2万社以上あるし、日本語にはこうした長寿企業を表わす「老舗(しにせ)」という言葉もある。
老舗企業の大半が小規模な同族企業であることを踏まえると、企業を長く存続させることと、企業の拡大を図ることとのあいだには、二律背反の関係があるとわかる。拡大を求めれば求めるほど、企業の寿命は短くなるのだ。
ライフサイクルの高さとは
ライフサイクルの高さとは、ある企業が拡大の段階を経た結果、どれくらいの規模に達するかを指す。
実質的には、ピーク時の収益に相当し、経験則からいっても、そのピークの高さは企業によって大きな差があるとわかるだろう。
企業のピーク時の収益の違いを決める内的要因や外的要因はさまざまだ。外的要因としては、次のようなものがある。
ニッチ市場と大衆市場のどちらに向けて製品やサービスを提供するのか、という選択は、拡大可能な規模を決めるひとつの要因になりうる。
フェラーリのような高級車メーカーは、フォルクスワーゲンのような大衆車メーカーほどの収益を生むことはないだろう。しかし、フェラーリは収益規模が小さくても、ずっと高い利益率を生み出すことができる、という点をつけ加えておこう。
この30年間で、世界中の企業が成長のために自国市場の外に目を向けるようになった。
その結果、それまで小規模な国内市場のみで営業していたせいで小規模にとどまっていた企業が、外国市場に参入し規模を拡大できるようになった。
歴史を見てみると、企業がそれまで到達できなかった規模へと拡大する道を切り開いたイノベーションがいくつも存在する。
およそ3世紀前の産業革命では、企業は工場を用いて生産を拡大し、手作業では到達不能な規模へと拡大を遂げた。


※ログイン後、コメント入力が可能です。