2020年ごろ、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO、当時)はアジア出張から戻ると、ある新たな製品カテゴリーにいつになく強い意欲を示していた。折り畳み式スマートフォンだ。
中国などアジア各地を訪れたクック氏は、サムスン電子や華為技術(ファーウェイ)などの折り畳み式端末を使う消費者が増えているのを目の当たりにした。アップルにも独自製品が必要だと確信して帰国し、まだ黎明期にあった市場への取り組みを加速するよう社内に促した。
実際には、アップルのハードウエアエンジニアリング部門に属する秘密主義の中核技術開発チームは、その時点ですでに何年にもわたり、折り畳み式スマートフォンやディスプレー、関連部品を研究していた。
事情に詳しい関係者によると、この取り組みは、サムスン電子が2019年に初代「ギャラクシーフォールド」を投入し、折り畳み式スマートフォン市場を広く認知させるよりもかなり前に始まっていた。この記事の取材に応じた大半の関係者と同様、機密性の高い取り組みであることを理由に匿名を条件に語った。
この記事は会員限定です
残り 4141文字

