「相手がそろそろ30歳になるタイミングだったので、結婚したかったのだと思います。僕はその気がなく、この人といても将来が見えないと思われたのでしょう。後悔は特にしていません。当時の僕には、結婚をする覚悟も財力もなかったからです。
若くして結婚するメリットはいまだに感じていません。この業界は芸能人も含めて遊び人が多いし、結婚する人も遅めです。会社の先輩も38歳で結婚したので、僕もそれぐらいで結婚できたらいいなと思っていました」
前の彼女から呪われそうな発言だが、その女性はまた社内の同期社員とすぐに付き合って結婚した。直前の彼氏である隆二さんも、結婚式に招待されたことは前述した。よほどあくどいことをしない限り、「人類みな兄弟」的な状況になりやすい業界なのかもしれない。
「もう社内はやめておこう」と決めた矢先の再アプローチ
一方、隆二さんも懲りずに社内恋愛をする。相手は今の妻である佳代さん(仮名、31歳)で、やはりディレクターとADという間柄だった。
「映画とかに誘われたのですが、最初は断っていました。もう社内はやめておこうと思っていたからです。でも、諦めずに誘ってくれたので気持ちが動きました。もちろん、前の彼女も社内だったことを知ったうえで僕に来てくれたんです」
なんとも受け身なモテ男である隆二さん。その心が結婚に傾いた出来事があった。佳代さんが、自分の親兄弟と仲良くしてくれたことだ。隆二さんの実家は自営業で、兄夫婦が事業を継いでいる。
「僕は付き合った女性は実家に連れていくことにしています。前の彼女は大阪育ちなので、『こんな田舎は嫌だ』とハッキリ言われちゃいました。でも、田舎出身の奥さん(佳代さん)は自然に振る舞ってくれたんです。うちの親はざっくばらんな人たちなので、最初から温泉旅行に誘われました。
女風呂では、うちの母親と祖母と一緒になりました。でも、奥さんは平気そうだったのが、僕は嬉しかったです。3年付き合ってからの結婚でしたが、振り返ってみれば、あれが一番の決め手でした」
地元や親と親しんでもらえると、心の根っこを優しく押さえられた気分になるものだ。何事も積極的な佳代さんが狙ってやったとは思えなかったが、家族としての相性の良さを確認できる時間になった。


※ログイン後、コメント入力が可能です。