最初に紹介したいのは、野英利香さんの『中学からの勉強は、こう変わる。 はじめての自学自習のキホン』です。
この本のいいところは、いきなり「成績を上げる方法」から始めていない点です。第1章のテーマは、「どうして勉強しなくちゃいけないの?」です。
大人は、子どもが勉強しないと、すぐに方法論を教えようとします。
「毎日30分は机に向かいなさい」
「英単語は書いて覚えなさい」
「テスト2週間前から計画を立てなさい」
しかし、本人が「そもそも、なぜ勉強するのか」に納得していなければ、どんな勉強法を教えても長続きしません。やらされている感覚が残ったままだからです。
本書では、勉強する意味を考えるところから始まり、やる気の出し方、習慣のつくり方、理解の深め方、定期テスト対策、進路の考え方へと話が進んでいきます。
個別指導で3000人以上を見てきた著者が、中学生の抱きやすい疑問に答える形で構成されているため、「勉強が得意な人にしかできない話」になっていません。
自学自習とは、親や先生に言われずに机に向かうことだけではありません。「何のためにやるのか」「今の自分には何が必要なのか」を、自分で考えられることです。
中学入学のタイミングはもちろん、中学生活の途中で勉強につまずいてしまった子にも、最初に渡したい一冊です。
ChatGPTをただ使っても自動的に点数は上がらない
2冊目は、『ぼくたちはChatGPTをどう使うか――14歳から考えるAI時代の学び』です。
今の中学生に勉強法を教えるとき、生成AIの存在は無視できません。すでにChatGPTを使って宿題をしたり、わからない問題を質問したりしている生徒はたくさんいます。
とはいえ、使えば自動的に成績が上がるわけではありません。
例えば、読書感想文をすべて書かせ、それをそのまま提出する。数学の問題を入力し、出てきた答えだけを写す。こうした使い方では、宿題を早く終わらせることはできても、本人の学力はほとんど伸びません。こういう使い方だと、むしろ学力は低くなります。
一方で、「この問題を解くためのヒントを1つだけ教えて」「僕の説明のどこがおかしい?」「この英文と似た問題を3問つくって」と尋ねれば、ChatGPTは非常に優秀な家庭教師になります。
大事なのは、答えを代わりに考えてもらうのではなく、自分が考えるために使うことです。
本書では、数学では「答え」ではなく「ヒント」をもらう、ChatGPTのウソを見抜くゲームをする、答えのない問題について対話するといった、具体的な活用法を紹介しています。また、AIの話だけでなく、英単語、英文読解、要約など、各教科の勉強のコツも収録しています。
これからの子どもたちに必要なのは、「AIを使うか、使わないか」という二択ではありません。「何をAIに任せ、何を自分で考えるのか」を判断する力です。その意味で、この本は単なるChatGPTの操作マニュアルではなく、AI時代における自学自習の入門書だと思います。




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