たとえば、“form”という英単語があります。
英単語帳を開くと、「形」「型」「姿」「種類」「形態」「形成する」など、いくつもの意味が載っています。
真面目な生徒ほど、それらを全部覚えようとします。
「formは形、型、姿、種類、形態……」
一つでも抜けたら問題が解けないのではないかと不安になり、赤シートを使って何度も繰り返します。
しかし、そんな生徒の前に、次のような英文が現れたらどうでしょうか。
“Leaving without thanking the host would be bad form.”
前半部分は「Host=主催者」、「Leaving without thanking=ありがとうを言わないで帰る」なので、「主催者に礼も言わずに帰るのは、」となります。そしてそれが「bad form」だ、というのがこの文の中核です。
さて、「主催者にお礼を言わずに帰るのは、悪い〇〇だ」の、〇〇には何が入るでしょうか。
この英文を「form=形」で覚えて直訳しようとすると、「主催者にお礼を言わずに帰るのは、悪い形だ」となります。しかし、これでは意味がよくわかりません。
この場合の“bad form”は、「礼儀に反する振る舞い」「礼を欠いた行為」と訳すとわかりやすいですよね。
したがって、文全体では「主催者にお礼を言わずに帰るのは、礼を欠いた振る舞いだ」となります。
単語訳を覚えてもイタチごっこ
ここで多くの受験生は、次のように考えます。
「単語帳には書いていなかったけれど、formには『振る舞い』という意味もあるんだ。これも覚えなければ」
そして単語帳の余白に、「振る舞い」と書き加えます。
一見すると、とても真面目な勉強法です。しかし、これを続けていくと、覚えるべき日本語がどんどん増えていきます。
「形」「型」「姿」「種類」「形態」「方式」「書式」「様式」「振る舞い」……。
こうして英単語学習は、際限のない暗記作業になってしまいます。


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